反応性関節炎(Reactive Arthritis:ReA)は関節外感染症に続発して生じる急性非化膿性関節炎
であり,下肢優位の移動性関節炎をきたす.ReAの病態にはHLA-B27を介した免疫反応や,単球
やマクロファージ内での細胞内寄生菌によるストレス応答が関与しているとされるが,本邦では
HLA-B27保有率が低く日本人小児における報告は少ない.
症例は13歳女子.入院11日前に発熱・腹痛・下痢を認め,入院5日前から肘関節や手関節痛が出
現した.抗菌薬・非ステロイド系消炎鎮痛薬を投与したが手・肘・膝・足関節の移動性関節炎や
発熱が残存した.便培養からYersinia enterocoliticaが検出され,Yersinia enterocolitica腸炎に伴
うReAと診断し副腎皮質ステロイド治療により改善した.後日,初診時の血清で抗Yersinia IgGが
2,560倍と高値が判明した.また,HLA-B27陽性であった.
小児ReAの先行感染は成人と異なり腸管感染が比較的多いが,病原微生物の同定が困難な場合
も多い.本例は偶発的にYersinia enterocoliticaが便培養で同定されたためReAの診断に至ったが,
ReAの診断には抗体価測定やHLA検査も有用と考えられた.
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