小児リウマチ
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12 巻, 1 号
小児リウマチ
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 井上 道雄, 斎藤 良彦, 西野 一三
    2022 年 12 巻 1 号 p. 3-14
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/17
    ジャーナル フリー
    永らく自己免疫性筋炎は,主に皮膚所見の有無によって皮膚筋炎と多発筋炎に分類されてきた. しかし近年の筋病理学および血清学の進歩により,小児自己免疫性筋炎には,少なくとも,皮膚 筋炎,免疫介在性壊死性ミオパチー,抗合成酵素症候群の3つの独立したサブタイプが存在し,そ れぞれ異なる病態を有することが明らかとなった.一方,病理学的定義を満たす多発筋炎の存在 は疑問視されており,臨床的に小児多発筋炎とされる例のほとんどは,免疫介在性壊死性ミオパ チー,抗合成酵素症候群皮疹のない皮膚筋炎のいずれかであると考えられる.
  • 宮前 多佳子
    2022 年 12 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/17
    ジャーナル フリー
  • 岸 崇之
    2022 年 12 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/17
    ジャーナル フリー
  • 井上 祐三朗
    2022 年 12 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/17
    ジャーナル フリー
    エピジェネティクスは,DNA塩基配列の変化を伴わない,細胞分裂後も継承される,遺伝子発現 あるいは細胞表現系の変化,あるいはそれらを研究する学問領域である.本稿では,代表的な小 児リウマチ性疾患である若年性特発性関節炎と全身性エリテマトーデスにおけるエピジェネ ティックな遺伝子発現制御についての知見と,バイオマーカーとしての有用性や治療標的として の可能性について概説する.
  • 宮本 尚幸, 八角 高裕
    2022 年 12 巻 1 号 p. 32-40
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/17
    ジャーナル フリー
    インターフェロノパチーは「持続的なⅠ型インターフェロン(IFN)の過剰産生を中心病態とするメ ンデル遺伝性疾患」と定義される自己炎症性疾患の概念である.その病態の研究から,自己由来 の核酸代謝の異常,IFN産生シグナル経路に関わる分子の機能亢進,IFN抑制経路に関わる分子の 機能低下,プロテアソーム機能不全などがⅠ型IFNの過剰産生につながることが解明されてきた. また,SLE(systemic lupus erythematosus)や皮膚筋炎などの自己免疫性疾患でもⅠ型IFN活性が 亢進していることが多く,近年これらの疾患の病態や治療標的としてⅠ型IFNが注目されている. インターフェロノパチーのなかにはSLEなどの自己免疫性疾患と類似した臨床像を呈する疾患が あり,これらの疾患では共通もしくは類似した分子機序によりⅠ型IFNの過剰産生がおこっている. 本稿ではインターフェロノパチーとSLEを中心とした自己免疫性疾患の病態において共通するⅠ 型IFNの過剰産生の分子機序について最新の知見を踏まえ概説する.
  • 佐藤 智
    2022 年 12 巻 1 号 p. 41-49
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/17
    ジャーナル フリー
    新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が初めて報告されて2年が経つ.これまでCOVID-19に関 して一般小児年齢層での重症化は本邦を含め報告されていない.COVID-19の小児リウマチ性疾患 に対する影響も限定的であり,パンデミック下においても安定した診療・治療ができている.一 方でCOVID-19後に小児多系統炎症性症候群(MIS-C/PIMS)という高サイトカイン血症を伴う新 たな疾患が報告された.本稿では現時点でのCOVID-19と小児リウマチ性疾患と診療に関する知見 をまとめて解説する.
  • ─日本リウマチ学会/日本小児リウマチ学会/日本眼炎症学会からの提案─
    岡本 奈美
    2022 年 12 巻 1 号 p. 50-57
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/17
    ジャーナル フリー
    国内で初となる「小児非感染性ぶどう膜炎初期診療の手引き2020年版」が発刊された.その背 景には,希少疾患に対する認知度の低さ,難治性病態にも関わらず治療ストラテジーが未確立と いう状況があった.そのため,最適治療・管理の標準化と,小児科医・眼科医の強固な連携を目 指し,小児リウマチ医・眼科医が協同して策定された.  小児非感染性ぶどう膜炎は自覚症状が乏しく,診断時すでにある程度進行し合併症を有する例 も少なくない.また,全身疾患の一症状として現れることや,全身治療を要する場合もあり,両 者の連携が重要となる.本稿では,海外・国内における疫学調査など文献報告を基に小児非感染 性ぶどう膜炎の実態について紹介し,「なぜ手引きが必要なのか」について概説する.そのうえで, 手引きに記載の事項と,活用方法のエッセンス・注意点を説明する.  この手引きが活用されることで,小児にも非感染性ぶどう膜炎患者がいることが広く認知され, 新たな診断ツールや,治療薬の適用拡大が進み,早期診断・予後改善につながることを期待する.
  • 野中 由希子, 山﨑 雄一, 久保田 知洋, 根路銘 安仁, 今中 啓 之, 武井 修治
    2022 年 12 巻 1 号 p. 58-64
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/17
    ジャーナル フリー
    【背景】小児期にリウマチ性疾患を発症した患者のライフイベントに対する統計データや同年代の 非疾患群と比較した報告は少ない.【目的】鹿児島大学病院小児科の小児期発症リウマチ性疾患患 者における成人後の通院・進学・就職・結婚・妊娠の状況を明らかにする.【方法】当科入院また は複数回受診した20歳以上の患者に対し受療状況・ライフイベントについて郵送調査し,過去の 調査と同年代の一般集団と比較検討した.【結果】患者の通院先は内科47.9%,リウマチ科33.0%, 小児科21.3%であり,そのうち患者の78.3%は公的医療費支援を受けていた.過去の調査と比較す ると小児科通院は減少し指定難病医療費助成制度と高額療養費制度の利用は増加していた.大学 進学は42.3%で過去の調査より増加した.就業者の業種は医療福祉が39.7%と最多で同年代より多 かった.婚姻率は35.4%で過去の調査や同年代と同等だった.妊娠女性の66.7%が妊娠前後に治療 を変更し,33.3%が流産を,19.0%が不妊治療を経験した.【結語】患者は以前と比べ成人科へ移行 し公的医療支援を受けながら同年代と近い生活をしていた.
  • 宮岡 双葉, 宮井 健太郎, 森 雅亮, 清原 鋼二
    2022 年 12 巻 1 号 p. 65-69
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/17
    ジャーナル フリー
    反応性関節炎(Reactive Arthritis:ReA)は関節外感染症に続発して生じる急性非化膿性関節炎 であり,下肢優位の移動性関節炎をきたす.ReAの病態にはHLA-B27を介した免疫反応や,単球 やマクロファージ内での細胞内寄生菌によるストレス応答が関与しているとされるが,本邦では HLA-B27保有率が低く日本人小児における報告は少ない.  症例は13歳女子.入院11日前に発熱・腹痛・下痢を認め,入院5日前から肘関節や手関節痛が出 現した.抗菌薬・非ステロイド系消炎鎮痛薬を投与したが手・肘・膝・足関節の移動性関節炎や 発熱が残存した.便培養からYersinia enterocoliticaが検出され,Yersinia enterocolitica腸炎に伴 うReAと診断し副腎皮質ステロイド治療により改善した.後日,初診時の血清で抗Yersinia IgGが 2,560倍と高値が判明した.また,HLA-B27陽性であった.  小児ReAの先行感染は成人と異なり腸管感染が比較的多いが,病原微生物の同定が困難な場合 も多い.本例は偶発的にYersinia enterocoliticaが便培養で同定されたためReAの診断に至ったが, ReAの診断には抗体価測定やHLA検査も有用と考えられた.
  • 川口 忠恭, 稲毛 康司
    2022 年 12 巻 1 号 p. 70-74
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/17
    ジャーナル フリー
    【背景】小児全身性エリテマトーデス(SLE)において腎静脈血栓塞栓症を塞栓源とする肺血栓塞 栓症は,発症頻度は低いが治療に関わらず死に至ることがある危険な合併症である.リポ蛋白(a) [Lp(a)]は静脈血栓塞栓症の発症に関与することが知られているリポ蛋白である.腎静脈血栓塞栓 症と肺血栓塞栓症を発症したLp(a)増加を伴うSLEの自験例から,Lp(a)の臨床的意義について検 討を試みた.  【症例】症例はSLEにて当科でフォローアップ中の14歳女子であり,右側腹部痛のために入院し た.6歳発症で,ループス腎炎とループス腸炎の既往歴があり,11歳からLp(a)増加を認めていた.  検査所見では,D-dimer高値と血小板数減少のほか,ネフローゼ症候群による低アルブミン血 症と蛋白尿を認めたが,抗リン脂質抗体症候群を示唆する検査所見はなかった.入院当日に腎静 脈血栓塞栓症と肺血栓塞栓症を診断して,血栓溶解療法を5か月間行い,血栓消失を確認後に終了 した.  【結論】SLE診療において遺伝的血栓性素因であるLp(a)増加は静脈血栓塞栓症の発症を予知する 上で有用な情報となり得るかもしれない.Lp(a)増加を伴うSLE患者には注意深いフォローアップ が必要と考えられた.
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