非感染性ぶどう膜炎のうち,尿細管間質性腎炎を伴うものはTINU症候群と呼ばれる.TINUと甲状腺機能亢進症の合併はまれだが,非感染性ぶどう膜炎に一過性の尿細管障害と甲状腺機能亢進症を合併した1例を経験した.症例は13歳女子.眼球結膜充血を主訴に近医眼科を受診し,ぶどう膜炎と診断され当院眼科を受診した.ステロイド点眼でぶどう膜炎は改善傾向となったが,血液検査でリウマトイド因子が陽性,尿検査でNAGとβ2MGが高値であった.また,遊離トリヨードサイロニン(FT3)と遊離サイロキシン(FT4)の高値,TSHの低値を認め入院した.甲状腺に関連する自己抗体はすべて陰性だった.超音波検査で甲状腺に低エコー域の不規則な分布を認めた.入院2週間後,血中FT3,FT4,TSH,尿中NAG,β2MGの値は正常化した.本症例は,非感染性ぶどう膜炎に合併した尿細管障害と潜在性甲状腺機能亢進症が,同時期に発症し寛解したと考えられた.これらの疾患の発症機序に共通性があると考え,文献的考察を踏まえて報告する.