2022 年 13 巻 1 号 p. 54-58
8歳男児.3週間程度続く間欠熱,関節痛と皮疹を主訴に紹介医を受診した.肝機能障害やフェリチン値の上昇(2,043 ng/mL)を認め,全身型若年性特発性関節炎(systemic juvenile idiopathic arthritis:s-JIA)が疑われ当科へ紹介受診となった.上肢や体幹部を中心に強い掻痒感を伴う丘疹や紅斑を多数認め,一部褐色調の色素沈着も伴い色素性痒疹様の皮疹を呈していた.s-JIAと診断しステロイド治療を開始すると,発熱,関節痛は徐々に改善した.掻痒を伴う丘疹や紅斑は徐々に消退し,表面がなだらかな色素沈着が残存したがそれも次第に消退した.成人発症Still病では約2割の患者が非典型皮疹を呈し,その多くが強い掻痒を伴う丘疹,紅斑である.一方s-JIAは8割以上の患者で典型疹を呈するが,非典型疹はほとんど認められない.s-JIAでも非典型疹を呈することがあり,発熱小児で掻痒を伴う持続性の丘疹,紅斑を呈する場合にはs-JIAを鑑別する必要がある.