抄録
炎症性偽腫瘍は,さまざまな臓器や軟部組織に発生する腫瘍で,病因や発生機序は不明である.
発熱体重減少,腫瘤触知などを主症状とし,発熱については間欠熱を呈した症例報告を散見する.
血液検査では白血球増多,貧血,血小板増多,高ガンマグロブリン血症,CRP上昇などがみられ,
IL-6やIL-1の過剰産生が報告されている. CTおよびMRI検査では,境界明瞭の円形な充実性腫瘍と
して描出される.病理組織検査では紡錘形の筋線維芽細胞と炎症細胞の増殖を認め,一部において
anaplastic lymphoma kinase 陽性である.腫瘍摘出にて予後は良好であるが,再発例や多発例の報告
も認める.規則正しい間欠熱を呈した自験例に対して免疫学的解析を行い,発熱時の血清IL-6値が
解熱時に比し高値を示し,末梢血単核球NF-κB活性化率は発熱時が解熱時に比し低値を示した.こ
の時相差により規則正しい間欠熱が生じると推測した.