小児リウマチ
Online ISSN : 2434-608X
Print ISSN : 2435-1105
2 巻, 1 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 大国 真彦
    2009 年2 巻1 号 p. 3-4
    発行日: 2009年
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル フリー
  • 有賀  正
    2009 年2 巻1 号 p. 5-8
    発行日: 2009年
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル フリー
    原発性免疫不全症には一見相反する病態と思われる自己免疫疾患の合併がまれではなく観察 され,その背景には免疫制御機構の不全が考えられる.一般の自己免疫疾患には複数の要因が複雑 に関係しており,その病態解明は容易ではないが,多くの原発性免疫不全症では病因分子が同定され ているため,その病態は比較的単純である.したがって原発性免疫不全症に合併した自己免疫病態 に着目し,病因分子の欠陥がどのような機序で自己免疫病態に関連するかという研究は,病態解明が 困難である自己免疫疾患の研究に示唆を与える可能性がある.
  • 鈴木 康夫
    2009 年2 巻1 号 p. 9-20
    発行日: 2009年
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル フリー
     関節リウマチ(RA)治療の最大の目的は骨・軟骨破壊を抑制し,関節機能,生活動作を維持し, さらには生命予後を改善することである.関節破壊の進行は発症後1年以内が速いことから,発病極 早期より疾患修飾性抗リウマチ薬(低分子DMARDs)や生物学的製剤で積極的に治療開始し,一定期 間毎に疾患活動性を評価し,治療目標に速やかに到達することが勧められる(タイトコントロール). 低分子DMARDsはRAと診断されたらすべての症例に投与すべき薬剤であり,生物学的製剤を使用 する際の基本薬でもある.その中でも,有効率が高く関節破壊抑制効果が確立している薬剤(strong DMARds)が主に使用されるが,メトトレキサート(MTX)はアンカー薬剤に位置付けられ, RA薬物療 法の基本薬である.低分子DMARDsが効果不十分な症例や活動性が高く予後不良因子がある症例で は生物学的製剤の早期導入を考える.
  • 重村 倫成, 上松 一永, 小池 健一
    2009 年2 巻1 号 p. 21-24
    発行日: 2009年
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル フリー
    全身型若年性特発性関節炎(sJIA)は多彩なサイトカインが関与し,病態に深く関わっている. IL-6, IL-1β, TNFαなどの炎症性サイトカインがその主体をなすとされてきたが,近年血清IL-18が 他の疾患に比して著しく上昇することが報告され,IL-18がsJIA病態に強く関与すると考えられるよ うになってきた.IL-18自体にはそれほど強い生理活性はないが,共存のサイトカインでは強い細胞 障害を示す.特にマクロファージ活性化症候群(MAS)移行例では血清IL-18は著明に上昇することか ら,MAS発症に強く関わっていることが予想される.病態の悪化時には血清IL-18は上昇し, sJIAの 活動性を反映することから,病勢マーカーとしても有用である.
  • 篠木 敏彦, 原 良紀, 宮前 多佳子, 今川 智之, 森 雅亮, 横田 俊平
    2009 年2 巻1 号 p. 25-28
    発行日: 2009年
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル フリー
    若年性特発性関節炎(JIA)患者では感染により病勢の悪化が認められる.特にインフルエンザ ウイルスは高い感染力と毒性があり,二次性細菌感染も多く注意が必要で,JIA患者においてはイン フルエンザワクチンの接種が推奨されている.一方,トシリズマブは抗IL-6レセプター抗体製剤で あり,難治性や頻回再発性のJIA患者に対し高い効果を上げている. IL-6はB細胞の抗体産生細胞へ の分化を促進するサイトカインであり,トシリズマブはワクチン接種による抗体上昇に影響をおよ ぼす可能性が危惧されていた.我々が行った研究では,トシリズマブ投与中のJIA患者においても健 常人と同等の抗体上昇が得られることが示唆された.また,ワクチンの投与による副反応の増加や 原疾患の悪化も認められなかった.ワクチン接種における利益と不利益を考えた場合,トシリズマ ブを投与中のJIA患者においても,インフルエンザワクチンは積極的に接種した方がよいと思われた.
  • 佐伯 敏亮, 野間 剛
    2009 年2 巻1 号 p. 29-33
    発行日: 2009年
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル フリー
    膠原病は,疾患,病型によって予後が異なるため,ある疾患が他の疾患に移行する場合にも適 切に診断を下す必要がある.しかし,移行までの期間や発現する自己抗体の評価の仕方などには検 討課題が残されている.混合性結合組織病(MCTD)では,発症時に診断がなされた後,数カ月から数 年の経過で全身性エリテマトーデス(SLE)の診断基準を満たす症例がみられる場合がある. MCTDは抗U1-RNP抗体,SLEは抗Sm抗体などを疾患標識抗体としている.抗U1-RNP抗体と抗Sm 抗体は,エピトープが異なるが,対応抗原がともにU1-small nuclear ribonucleoprotein(U1-snRNP)で ある.これらの自己抗体と病態形成との関連は明らかではないが,MCTDからSLEへの移行例では, 抗Sm抗体の陽転がみられることから,何らかの素因を背景に,感染などを誘因として新たな抗体が 産生されることが推察される.疾患移行に関して,素因,誘因,病態解明が待たれる.
  • 清水 正樹
    2009 年2 巻1 号 p. 34-39
    発行日: 2009年
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル フリー
    抗リン脂質抗体症候群(APS)は,抗リン脂質抗体(aPL)と関連する自己免疫性血栓症および習 慣流早産などの妊娠合併症と定義される.APSには膠原病に合併する二次性APSと合併のない原発 性APSが知られている.またこれらとは別に,数日から数週間という短期間の間に複数の臓器の微 小血管に血栓をきたす予後不良な一群があり,劇症型抗リン脂質抗体症候群(CAPS)と称される. CAPSと類似した病態を示す疾患として,溶血性尿素症症候群(HUS),血栓性血小板減少性紫斑病 (TTP)などが挙げられる. CAPSが一次的な微小血栓形成の促進により惹起される病態であるのに対 して,HUSやTTPは特定の要因による血管内皮傷害を背景に発症することから,血栓性微小血管障 害性溶血性貧血(TMHA)と総称される.一方, TMHA症例の中にaPLが陽性となる一群が存在するこ とが明らかにされてきた.このような症例ではaPLが病態形成に深く関わることが示唆されると同 時に,抗凝固療法などのCAPSに準じた治療的介入が重要となる.このような理由からaPL陽性の TMHA症例に対しては, APSの新しいsubsetとしてMicroangiopathic APSという概念が提唱されて いる.小児においてCAPS/Microangiopathic APSは稀とされているが, HUSやTTPと診断されてい る症例の中にAPS症例が存在している可能性が考えられる. APSでは抗凝固療法が必要であり,小 児においてもTMHA症例ではaPL測定によるスクリーニングが重要である.
  • 山崎 雄一, 武井 修治
    2009 年2 巻1 号 p. 40-41
    発行日: 2009年
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル フリー
    SLEにおける肺出血は,稀ではあるが致死率の高い合併症である.呼吸器症状や貧血を認め, 喀血の特異度が高い.診断にはBALが有用であるが,施行が困難な場合は,臨床経過,検査結果を もとに診断し,治療を検討することが望まれる.
  • 河合 利尚
    2009 年2 巻1 号 p. 42-46
    発行日: 2009年
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル フリー
    若年性皮膚筋炎(以下JDM)において,間質性肺炎は最も予後不良な合併症である.血管障害 の強い症例では,稀ではあるが,脆弱化した肺組織から空気が漏出し縦隔気腫や気胸などのエアー リーク所見がみられる.JDMにおいて難治性の皮膚潰瘍を呈したり,ステロイド治療によって筋炎 症状が改善しない,広範囲に間質性陰影を認める,急速に呼吸不全が進行する,エアーリーク所見な どの症状を伴う間質性肺炎合併例は重症例といえる.そのような症例では,早期からステロイド治 療と免疫抑制剤を併用した複合治療を必要とする.間質性肺炎を合併したJDM症例において,シク ロスポリンAによる免疫抑制治療は一定の評価を得ている.しかし,急速に呼吸不全が進行する症 例ではこれらの治療によっても軽快せず,致死的経過をとることが多い.急性増悪の起こる原因は 明らかでないが,Pneumocystis肺炎(PCP)は誘因のひとつと考える.そのため,定期的な血清β-D グルカンの測定とST合剤によるPCPの予防も重要である.
  • 山口 賢一, 岡田 正人
    2009 年2 巻1 号 p. 47-50
    発行日: 2009年
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル フリー
     腸管気腫は,皮膚筋炎の経過中に画像検査のfree airで気付かれることが多い.この病態を急 性腹症と考え不必要な外科的侵襲を施すことが無いよう,認識しておくことが大切である.多くは 保存的治療で改善するが外科的治療が必要となるケースもあり,慎重な経過観察が必要である.
  • 深野 玲司, 市山 高志
    2009 年2 巻1 号 p. 51-54
    発行日: 2009年
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル フリー
    炎症性偽腫瘍は,さまざまな臓器や軟部組織に発生する腫瘍で,病因や発生機序は不明である. 発熱体重減少,腫瘤触知などを主症状とし,発熱については間欠熱を呈した症例報告を散見する. 血液検査では白血球増多,貧血,血小板増多,高ガンマグロブリン血症,CRP上昇などがみられ, IL-6やIL-1の過剰産生が報告されている. CTおよびMRI検査では,境界明瞭の円形な充実性腫瘍と して描出される.病理組織検査では紡錘形の筋線維芽細胞と炎症細胞の増殖を認め,一部において anaplastic lymphoma kinase 陽性である.腫瘍摘出にて予後は良好であるが,再発例や多発例の報告 も認める.規則正しい間欠熱を呈した自験例に対して免疫学的解析を行い,発熱時の血清IL-6値が 解熱時に比し高値を示し,末梢血単核球NF-κB活性化率は発熱時が解熱時に比し低値を示した.こ の時相差により規則正しい間欠熱が生じると推測した.
  • 金井 宏明, 沢登 恵美, 海野 杏奈, 松下 香子, 東田 耕輔, 杉田 完爾
    2009 年2 巻1 号 p. 55-60
    発行日: 2009年
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル フリー
    低IgG血症に対するγグロブリン補充時に無菌性髄膜炎を繰り返し,ステロイド投与により発症を 予防できた女児例を経験した.  4歳時に全身性エリテマトーデス(SLE),ループス腎炎を発症,ステロイドパルス,シクロフォス ファミド大量静注療法等の治療後も寛解を維持できず,6歳時にリツキシマブ投与により寛解を維持 できた.5歳時に低IgG血症に対するγグロブリン補充後,無菌性髄膜炎を発症した.その後もγグ ロブリン補充時に同様の髄膜炎を繰り返したため,γグロブリン関連無菌性髄膜炎と診断した.発 症予防のため,製剤や投与速度の変更,プレドゾロニン(PSL)の4~10日間の短期増量を行い,予防 はできなかったが,発症の遅延,軽症化を認めた.以降,γグロブリン投与時にはPSLを15~20mg/ 日に増量し,それを17~19日間かけて漸減することで発症を予防できた.  γグロブリン関連無菌性髄膜炎は,SLEの活動性,製剤の種類,投与量,投与速度とは無関係に発 症し,PSLの中長期増量投与により発症を予防できると考えられた.
  • 横田 俊平, 森 雅亮, 今川 智之, 村田 卓士, 冨板 美奈子, 伊藤 保彦, 藤川 敏, 武井 修治
    2009 年2 巻1 号 p. 61-70
    発行日: 2009年
    公開日: 2020/10/30
    ジャーナル フリー
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