抄録
低IgG血症に対するγグロブリン補充時に無菌性髄膜炎を繰り返し,ステロイド投与により発症を
予防できた女児例を経験した.
4歳時に全身性エリテマトーデス(SLE),ループス腎炎を発症,ステロイドパルス,シクロフォス
ファミド大量静注療法等の治療後も寛解を維持できず,6歳時にリツキシマブ投与により寛解を維持
できた.5歳時に低IgG血症に対するγグロブリン補充後,無菌性髄膜炎を発症した.その後もγグ
ロブリン補充時に同様の髄膜炎を繰り返したため,γグロブリン関連無菌性髄膜炎と診断した.発
症予防のため,製剤や投与速度の変更,プレドゾロニン(PSL)の4~10日間の短期増量を行い,予防
はできなかったが,発症の遅延,軽症化を認めた.以降,γグロブリン投与時にはPSLを15~20mg/
日に増量し,それを17~19日間かけて漸減することで発症を予防できた.
γグロブリン関連無菌性髄膜炎は,SLEの活動性,製剤の種類,投与量,投与速度とは無関係に発
症し,PSLの中長期増量投与により発症を予防できると考えられた.