抄録
症例は14歳の女子.出生時より単心房,房室中隔欠損,下大静脈欠損,多脾症候群を認め,二心
室修復術,僧帽弁形成術の既往がある.10歳時より股関節の疹痛を認めたが自然に軽快した,しかし
その数か月後に右手・両足・膝関節の疼痛を認めたため,当科を紹介受診.抗CCP抗体陽性,リウ
マチ因子陽性の多関節型若年性特発性関節炎と診断し,プレドニゾロン(PSL),メトトレキサート
(MTX)による治療を開始された.その後,症状は軽快傾向にあり, PSLの減量をすすめていたが,12
歳時に感冒を契機に関節症状が増悪し,PSLを増量するも効果は限定的であったため,生物学的製剤
(トシリズマブ)導入を考慮した.トシリズマブ(TCZ)に関しては, IL-6機能の遮断による心機能へ
の影響が明確ではなく,心機能に異常のある児に対してのTCZの作用は検討されていないことから,
本児へのTCZ投与による心機能悪化の可能性が考えられた.導入前の心臓超音波検査では明らかな心
機能の異常は認めなかったことからTCZ投与に至ったが,懸念された副作用は認めず,投与を継続で
きた.現在は関節症状が残存しており,PSLの増量と減量を繰り返している.必要に応じて生物学的
製剤のスイッチングも考慮中である.