抄録
症例は17歳女児.SLE発症10年後にネフローゼ症候群を伴ってループス腎炎が再燃し,腎生検で
ループス腎炎ISN Class IV G(A/C)型と診断した.ステロイドパルス療法を4コースを施行したが徐々
に尿蛋白が増加し,全身の著明な浮腫,胸腹水の貯留,心嚢液貯留を来し,17歳6か月時に入院となっ
た.自己抗体の除去を目的とし,血漿交換療法を行ったところネフローゼ状態は改善し,浮腫や胸腹水,
心嚢液は消失した.その後,徐々に尿蛋白は減少し,維持の免疫抑制療法としてシクロホスファミド
パルス療法を選択し,8か月後にネフローゼ症候群の寛解を得た.
ループス腎炎はSLEにおいて生活の質や生命予後を決定する重要な合併症であり,ループス腎炎IV
型ではステロイドに加えて,ミコフェノール酸モフェチルやシクロホスファミドパルス療法の併用を
必要とする.それに加え,重症のネフローゼ症候群をきたした症例では,救命のため急性期の治療と
して血漿交換療法が有効であると考えられた.