小児リウマチ
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ネフローゼ症候群を呈したループス腎炎に対して血漿交換療法を行った17歳女児
佐藤 知実大林 聡子奥田 雄介坂井 智行澤井 俊宏一色 啓二宇津 貴竹内 義博
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2015 年 6 巻 1 号 p. 53-56

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抄録
症例は17歳女児.SLE発症10年後にネフローゼ症候群を伴ってループス腎炎が再燃し,腎生検で ループス腎炎ISN Class IV G(A/C)型と診断した.ステロイドパルス療法を4コースを施行したが徐々 に尿蛋白が増加し,全身の著明な浮腫,胸腹水の貯留,心嚢液貯留を来し,17歳6か月時に入院となっ た.自己抗体の除去を目的とし,血漿交換療法を行ったところネフローゼ状態は改善し,浮腫や胸腹水, 心嚢液は消失した.その後,徐々に尿蛋白は減少し,維持の免疫抑制療法としてシクロホスファミド パルス療法を選択し,8か月後にネフローゼ症候群の寛解を得た.  ループス腎炎はSLEにおいて生活の質や生命予後を決定する重要な合併症であり,ループス腎炎IV 型ではステロイドに加えて,ミコフェノール酸モフェチルやシクロホスファミドパルス療法の併用を 必要とする.それに加え,重症のネフローゼ症候群をきたした症例では,救命のため急性期の治療と して血漿交換療法が有効であると考えられた.
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© 2015 一般社団法人 日本小児リウマチ学会
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