抄録
ネフローゼ症候群(NS)とべーチェット病(BD)の合併は極めてまれである.症例は13歳男児.6
歳時にNSを発症し頻回再発型となったため, mizoribin(MZR)高用量治療の併用を行いNSは長期
寛解維持できた.MZR高用量治療を開始したころから児は歯科矯正治療を始めたが,その後口内炎を
繰り返したり,ときに蕁麻疹様の紅斑が出現したりするようになった.NS発症から7年後に眼発作
を契機にBDと診断した.児はHLA-B51陽性であった. BD,NSいずれもその病因はいまだ明確でな
いが,本症例においては,HLAや歯科矯正治療などの口腔粘膜刺激のみならず,ステロイドやMZR
などのNSへ対する治療がBD発症・進展に影響していた可能性もある. BD発症のメカニズムを検討
するうえで興味深い症例と考えられたため,報告する.