抄録
混合性結合組織病(MCTD)には関節炎がしばしば合併する.その多くは骨病変を伴わない軽微な滑膜炎であるが,稀に高度の骨びらん性変化を伴う.
我々は,MCTD発症から3年後の高用量メトトレキサート(MTX)内服中に,骨びらんを伴う肩関節痛を認めた14歳女児例を経験した.関節鏡に
て関節滑膜増殖と骨びらんを伴うパンヌス形成を認め,関節滑膜炎と診断した.関節リウマチ類似の病態と考え,滑膜除去とトシリズマブ(TCZ)投与を行い,速やかに軽快した.多彩な臨床症状を示
すMCTDをはじめとした膠原病では,病態を基にした治療介入が必要不可欠である. TCZは関節リウマチ以外の膠原病に合併する難治性関節炎にも試みるべき治療であると考えられた.