小児リウマチ
Online ISSN : 2434-608X
Print ISSN : 2435-1105
多関節型若年性特発性関節炎の膝関節炎の評価における非接触型赤外線体温計の有用性
原 拓麿岸 崇之宮前 多佳子花谷 あき谷 諭美千葉 幸英鶴田 敏久永田 智谷口 敦夫山中 寿
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2016 年 7 巻 1 号 p. 14-18

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抄録
成人の健常者は膝蓋の皮膚温が脛骨よりも低く,“Cool patella sign”と呼ばれる。非接触型赤外線 体温計の表面温度モードを用いて健常成人・小児におけるCool patella signの検証を行った。健常 成人20人の脛骨部,膝蓋部の皮膚温は32.49 ± 0.94℃,30.78 ± 0.83℃でその皮膚温度差は1.71 ± 0.82℃ であり,有意差を認めた(P<0.01).健康小児の16例の検討では脛骨部,膝蓋部の皮膚温は32.51 ± 0.92℃,32.06 ± 0.80℃,温度差は0.50 ± 0.51 ℃(P=0.07)であった.幼児では膝蓋部の皮下組織が厚い ためCool patella signが確認できない症例があると推測された.また多関節型若年性特発性関節炎の 5歳6か月女児の膝関節炎の治療経過における膝蓋部関節温を非接触型赤外線体温計により評価した. 治療前は膝蓋部皮膚温(右34.3℃,左33.6℃)では大腿(右32.4℃,左32.6℃)・下腿(右31.3℃,左 32.0℃)よりも明らかに高温で,“Loss of cool patella sign”の状態であった.膝関節炎の改善に伴い, 治療開始5週後にはCool patella signに復したことが客観的に確認され,有用であった.
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© 2016 一般社団法人 日本小児リウマチ学会
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