抄録
症例は14歳女児.鼻汁,鼻閉,両膝関節痛,四肢の紫斑が先行し,急激な呼吸障害を呈した.血液
検査では炎症反応の上昇を認め,尿検査で顕微鏡的血尿を呈していた.下腿紫斑の皮膚病理組織で
は肉芽腫を形成し,腎病理組織で半月体形成性腎炎を認め,細胞質型抗好中球細胞質抗体(cytoplasmic
anti-neutrophil cytoplasmic antibody;C-ANCA)が陽性であることからも併せて多発血管炎性肉芽腫症
(granulomatosis with polyangiitis;GPA)と診断した.メチルプレドニゾロンパルス療法に反応し,一旦軽快したが尿蛋白が増加した.
免疫グロブリン大量療法,メトトレキサート,シクロフォスファミドパルス療法を追加投与し尿蛋白は改善したが,徐々に血清クレアチニンの上昇を認め,
C-ANCAも増加した.リッキシマブ(RTX)を投与し,以後C-ANCAは徐々に低下し血清クレアチニンは増加せ
ず安定した.RTXを半年ごとに投与し2年経過するが, RTXによる副作用は認めず寛解を維持して
いる.難治性のGPAの寛解導入,維持に対してRTXが有効であると考えられた.