フィナンシャル・レビュー
Online ISSN : 2758-4860
Print ISSN : 0912-5892
内生的な時間選好と持続的成長および持続的発展:展望
細谷 圭
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 150 巻 p. 93-116

詳細
抄録

本論文では,持続可能性の概念から派生する持続的成長と持続的発展の分析的視点を区別し,近年の環境マクロ経済学研究の到達点となる2 つの主要な研究論文を詳細に検討する。ここで分析の縦糸として注目するのは,それ自体の研究が比較的長い歴史をもつ内生的に決まる時間選好関数を環境マクロの動学的フレームワークに導入する点である。マクロ経済動学の研究では,いわゆるディープ・パラメータの重要性が指摘されているが,時間選好率はそのなかの1 つであり,環境経済学のマクロ理論研究にもその影響が及んできたといえる。第1 モデルでは,持続的成長が達成されるなかで,内生的時間選好下における環境税の影響を考察する。続く第2 モデルでは,時間を通じた効用の一定性という持続的発展の考え方に根ざした定義のもとで,複合的な内生的時間選好を考慮した場合のモデルの動学的特徴を導き出す。

著者関連情報
© 2022 本論文著者
前の記事
feedback
Top