フィナンシャル・レビュー
Online ISSN : 2758-4860
Print ISSN : 0912-5892
150 巻
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 浅子 和美
    2022 年 150 巻 p. 1-18
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/10
    ジャーナル フリー
  • ―横断性条件,ドーマー条件,物価水準の財政理論―
    江口 允崇, 畑農 鋭矢
    2022 年 150 巻 p. 19-45
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/10
    ジャーナル フリー
    本論文では,最近までの関連研究を俯瞰しながら財政の持続可能性に関する議論をまとめ,最後に試験的な実証分析を試みた。第Ⅰ節では,財政の持続可能性について概観し,政府のデフォルトについての議論をまとめた。第Ⅱ節では,財政の持続可能性の代表的な定式化として横断性条件を紹介した。第Ⅲ節では,貨幣を導入し,中央銀行が存在する下での横断性条件について整理した。この設定では,物価の変動によって横断性条件が満たされると主張する物価水準の財政理論(FTPL)が重要である。第Ⅳ節では,利子率と経済成長率の大小関係,すなわちドーマー条件の観点を加味して3つの議論を行った。第1に,ドーマー条件を考慮しながら横断性条件と政府債務GDP 比の収束条件の関係を明らかにした。第2に,動学的最適化・効率性という視点からドーマー条件の意味を考え,財政の持続可能性に対する含意を示した。特に,g>r のケースにおいては,財政に合理的バブルが生じうること,(横断性条件ではなく)政府債務GDP 比の一定値以下への収束が持続可能性指標として妥当である可能性を示唆した。第3に,r-g に不確実性がある場合の実証分析(確率的債務持続可能性分析)を試行した。計算の結果によると,r-gに不確実性があるとき,たとえ現状がg>r であったとしても,2030 年の日本の国債GDP比は非常に大きな値となる可能性がある。
  • 野村 亜紀子
    2022 年 150 巻 p. 46-75
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/10
    ジャーナル フリー
    少子高齢化が進む日本では,公的年金はマクロ経済スライドによる給付抑制を実行することが求められており,私的年金の役割が増すと共に,私的年金自体の持続可能性が重要を増す。私的年金の一種である確定拠出年金(DC)は2001 年の導入以降着実に普及しているが,改善すべき制度上の課題も抱えている。まず,DC 拠出限度額は,個人が働き方 や職場の年金制度等に関わらず均等に拠出機会を享受できる方向での,抜本的な見直しが求められる。租税理論及び財政の観点からは,私的年金税制の「EET 型」への移行も重要な論点となる。また,多くの個人がDC に加入し有効活用していることが重要であり,更なる普及拡大に向けて自動加入制度のような思い切った手段も検討の余地がある。さらに,DC 制度の運営の担い手は民間企業であり,事業として持続可能でなければならない点には留意が必要である。
  • 陣内 了
    2022 年 150 巻 p. 76-92
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/10
    ジャーナル フリー
    資産価格バブルに関わる最新の研究動向を,政策担当者と研究者がなぜすれ違うのかという視点から議論する。用語を巡るすれ違いがあることや,バブルに対する見方がそもそも異なるという問題があることを解説する。有名な政策論争や,新しい研究の流れとして繰り返しバブルの理論を紹介する。政策的な含意や,実証研究についても議論する。
  • 細谷 圭
    2022 年 150 巻 p. 93-116
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/03/10
    ジャーナル フリー
    本論文では,持続可能性の概念から派生する持続的成長と持続的発展の分析的視点を区別し,近年の環境マクロ経済学研究の到達点となる2 つの主要な研究論文を詳細に検討する。ここで分析の縦糸として注目するのは,それ自体の研究が比較的長い歴史をもつ内生的に決まる時間選好関数を環境マクロの動学的フレームワークに導入する点である。マクロ経済動学の研究では,いわゆるディープ・パラメータの重要性が指摘されているが,時間選好率はそのなかの1 つであり,環境経済学のマクロ理論研究にもその影響が及んできたといえる。第1 モデルでは,持続的成長が達成されるなかで,内生的時間選好下における環境税の影響を考察する。続く第2 モデルでは,時間を通じた効用の一定性という持続的発展の考え方に根ざした定義のもとで,複合的な内生的時間選好を考慮した場合のモデルの動学的特徴を導き出す。
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