フィナンシャル・レビュー
Online ISSN : 2758-4860
Print ISSN : 0912-5892
マイクロシミュレーションの展開と個人所得課税の負担構造
大野 太郎
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 151 巻 p. 53-82

詳細
抄録

税制・社会保障分野の研究では,家計関連のマイクロデータを使用した取り組みが進む中,マイクロシミュレーションという手法を扱う研究も増えている。これは世帯の家族構成や所得に関する情報に現実の制度を当てはめて税額・給付額を推計するものであり,(1)政策変更の試算,(2)限界税率の計算,(3)サンプルの補完,(4)季節性問題の解消,(5)制度変更による寄与の抽出などといった多様な役割を果たしている。本稿ではまず国内外の研究をサーベイし,マイクロシミュレーションの展開および日本の個人所得課税に関する研究成果を整理する。また,『全国家計構造調査』(1989~2019 年調査)の個票データを利用したマイクロシミュレーション・モデルを使い,この手法の多様性を活かしながら個人所得課税の負担構造に関する実態を明らかにする。

著者関連情報
© 2023 本論文著者
前の記事 次の記事
feedback
Top