フィナンシャル・レビュー
Online ISSN : 2758-4860
Print ISSN : 0912-5892
課税・給付と行動経済学
森 知晴
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 151 巻 p. 83-106

詳細
抄録

本論文では,課税と給付の経済分析において,行動経済学の知見を用いた研究のサーベイをおこない,日本の課税・給付政策を行動経済学の観点から議論する。行動経済学とは,主体が「標準的な仮定」とは異なる仮定で動いているモデルを想定した研究の総称であり,近年では課税・給付の理論分析・実証研究においても研究が急増している。具体的には,税に関する不注意,課税・給付の複雑性がもたらす影響,退職貯蓄と年金の制度設計,納税促進,労働・教育・医療における給付の影響などが研究されている。また,理論的には最適課税との関係が研究されている。行動経済学的な知見は日本における課税・給付にかかる制度・政策を検証する新たな視点を提供し,より現実的な人間像を踏まえた制度設計を提案することができる。

著者関連情報
© 2023 本論文著者
前の記事 次の記事
feedback
Top