フィナンシャル・レビュー
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我が国における事業所・企業統計の体系化
菅 幹雄
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2025 年 159 巻 p. 5-21

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抄録

我が国における事業所・企業統計の体系化が進んでいる。平成24 年(2012 年)より前の我が国の事業所・企業統計は各府省が所管する産業を個別に調査していたため,互いに対象範囲の重複や漏れがあり,かつ調査周期もばらばらであった。とりわけサービス産業においてその傾向が顕著であった。経済のサービス化が進む中で,経済の全体像をより正確に把握すべきであるという意見が強くなり,平成12 年(2000 年)頃から事業所・企業統計の体系化の作業が始まった。さらには産業連関表から供給・使用表への移行が決定し,それを実現するための新たなデータの収集の要請も加わった。多くの困難を乗り越えて,平成24 年(2012 年)に「経済センサス- 活動調査」,令和元年(2019 年)に「経済構造実態調査」が開始された。令和7年(2025 年)には「サービス産業動態統計調査」が開始される予定であり,5年毎,年次,月次の事業所・企業統計が整理・統合されることになる。このような大規模な改革が容易に実現しないことは,広く認識されていると推測されるが,その実現の過程がどのようなものであったのかは,おそらく十分には知られていないであろう。そこで本稿では,我が国における事業所・企業統計の体系化のプロセスを明らかにする。

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© 2025 本論文著者
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