本研究は,日本における子育て世帯の構造変化と地域差を,1980年と2020年の国勢調査を用いて記述的に明らかにすることを目的とする。分析対象はひとり親世帯をのぞく長子が10〜12歳の世帯とし,親の就業形態や学歴,住宅条件,三世代同居など18の変数を基に,次元削減手法であるUniform Manifold Approximation and Projection(UMAP)とクラスタリングを組み合わせて世帯の類型化を行った。分析の結果,第一に,母親がフルタイム就業する世帯の拡大や大卒で非就労(二人子・持ち家率高)の世帯など異なる特徴を持つ世帯が同時に拡大していた。第二に,非持ち家で母親非就労や都市近郊の持ち家・母親非就労の世帯は縮小していることが確認された。第三に,母親がフルタイム就業・祖父母と同居のように40年間大きく地域差が変わらない類型も存在し,北陸・東北と首都圏・京阪神の地域差が持続していた。本研究は記述的分析にとどまるが,世帯構造の多様性,変化と地域的固定性を体系的に把握することにより,少子化や女性就業支援をめぐる政策議論に資する基礎的な情報を整理する。