霊長類研究 Supplement
第20回日本霊長類学会大会
セッションID: A-13
会議情報

口頭発表
野生ニホンザル・群れの崩壊と復元
*伊沢 紘生佐藤 智保
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
宮城県金華山に生息する野生ニホンザルの生態調査は1982年から今日まで継続されている。その間に二度の分裂があり、1982年当時の4群が現在は6群になっている。しかし、これらすべての群れについて、群れのまとまり、すなわち、オトナメスのまとまりが崩れ、一時的にせよ群れの体をなさなくなる、といった事態は一度も観察されていない。日本各地に生息するどの野生群についても同様で、類似の現象は屋久島での群れの消滅という事例のみである。 金華山B2群も昨年(2003年)6月上旬までは特別に変わったことはなかった。それが交尾期の始まった8月前後からオトナメスが次々と群れから離れ(群れ外オスに連れ出され)、昨年3月下旬の時点では15頭いたオトナメスが、8月下旬には8頭、10月上旬には6頭、10月下旬には4頭、11月下旬には3頭、そしてついに1頭づつバラバラになってしまった。その間、B2群の遊動域と周辺域を多数の調査員で丹念に調べたが、単独で、ないしオスとコンソートペアを作っているB2群のメス以外に、集団で生活するメスは目撃されていない。隣接群で新たなメスの加入も観察されていない。すなわち、11月末時点でB2群のメスのまとまりは完全に崩壊したといえる。 それが、交尾期の終盤に入る頃からメスがまとまり始め、12月中旬には3頭の集団が2つ、下旬には5頭の、1月中旬には7頭の、1月下旬には8頭の、3月下旬には9頭の集団が観察された。また、上記集団以外にオスとペアでいるB2群のメスは1月中旬まで観察されている。 本発表では、ニホンザルではきわめて珍しい群れの崩壊と復元という過程を整理し、なぜそのような事態が生起したかについて考察する。
著者関連情報
© 2004 日本霊長類学会
前の記事 次の記事
feedback
Top