霊長類研究 Supplement
第20回日本霊長類学会大会
セッションID: A-18
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口頭発表
マントヒヒのグルーピングパターンと集団構成
杉浦 秀樹
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抄録
(目的)マントヒヒは大きな群れを作り、その社会には階層構造があると言われている。群れの下部構造を探ると共に、群れ全体の頭数・構成を把握するために、定点で頭数を数えた。
(方法)サウジアラビア王国・タイフ市で、市街地の外れに生息する野生マントヒヒ集団を約2ヶ月間調査した。この集団は、観察期間中、ほぼ同じ泊まり場を利用していた。朝、泊まり場から公園に行き、日中は公園の水場や、人から与えられる餌・残飯をよく利用していた。夕方、再び道路を通って泊まり場に戻ってくることが多かった。泊まり場と公園の間には、約1kmの直線道路があり、ここを通過するヒヒの頭数を数えた。普通は動きが速いため、頭数だけを数えたが、ひとかたまりの集団がゆっくり移動した場合は、性・年齢も一緒に記録した。
(結果)ヒヒが道路を渡る時間的なパターンを分析すると、2つのバウトに分けられることが分かった。一回のバウトの間に道路を渡るヒヒの数は、非常に大きな変動を示した。群れ全体では650頭以上いると推定された。性比は0.45(成体オス/成体メス)であり、子連れ率は31%(アカンボウ/成体メス)であった。
(考察)マントヒヒは群れ全体が一緒に連続して移動しているのではなく、いくつかのまとまりに分かれて移動していることが示唆された。そのような集団は、一定の大きさのものというよりは、非常に変動の大きなもののようだ。マントヒヒは、非常に柔軟に、様々な大きさの集まりを作っているのかもしれない。600頭を越える群れというのは、ほとんど報告がなく、極めて大きな群れと言える。過去の記録と比較すると、この群れは増え続けていると推定され、このことは高い子連れ率からも支持される。人為的な餌に大きく依存していることが、このような大きな集団になっている一因であろう。
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© 2004 日本霊長類学会
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