霊長類研究 Supplement
第20回日本霊長類学会大会
セッションID: P-36
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ポスター発表
マハレの中大型哺乳類の生息密度の経年変化
*五百部 裕上原 重男
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抄録
(目的)タンザニア、マハレ山塊国立公園において、チンパンジーの狩猟対象である中大型哺乳類の生息密度の経年変化を明らかにし、チンパンジー狩猟が哺乳類に与える影響を考察した。
(方法)人づけされているチンパンジーM集団の遊動域内において、1995~2002年の間に4回にわたりルートセンサスを行い、8種の中大型哺乳類の生息密度に関する資料を同一の方法によって収集した。
(結果)チンパンジーによってもっとも高頻度に狩猟されているアカコロブスの生息密度には、全体としては大きな変化は認められなかったが、最近チンパンジーによる狩猟があまり行われない遊動域の北の部分では、アカコロブスの生息密度が増加している傾向が認められた。アカコロブスと同程度の密度で生息していながら、チンパンジー狩猟の頻度が低いアカオザルの生息密度は、若干増加している傾向が認められた。さらに最近チンパンジーによる狩猟頻度が以前に比べ低下しているブルーダイカーの生息密度は増加していた。キイロヒヒの群れ密度には大きな変化は認められなかったが、群れサイズが増加しており、個体密度は増加していると推測された。ブルーモンキー、イボイノシシ、モリリスについては、生息密度に大きな変化は認められなった。ブッシュバックの生息密度は減少していた。
(考察)チンパンジー狩猟の頻度が低下している遊動域の北の地域のアカコロブスや最近狩猟頻度が減っているブルーダイカーの生息密度に増加傾向が認められ、またチンパンジーに狩猟されることが少ないアカオザルの生息密度が増加していることから、哺乳類の生息密度に、チンパンジー狩猟が影響を与えていることが明らかになった。一方で、キイロヒヒやブッシュバックの生息密度の変化には、チンパンジー狩猟の影響は小さいと考えられ、植生の変化や採食競合、あるいはヒョウなどの捕食者の存在が、哺乳動物の生息密度に影響を与えている可能性が示唆された。
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© 2004 日本霊長類学会
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