抄録
私たち人類にとって、子どもの健全な成長は永続的な未来を保証する上で必要不可欠なものである。子どもたちは日常の遊びや生活、またそれを取り巻く社会環境からさまざまなことがらを習得しながら成長していく。そして、文化的背景や社会構造の違いは、そこで暮らす子どもの発達過程にも大きな影響を与えることが予想される。本シンポジウムでは、ヒト以外の霊長類や自然に強く依存して生きる人々の社会における、子どもたちの遊び、生活、社会行動といったものに注目する。これまでに霊長類学や生態人類学によって集積された資料をもとに、ヒトに最も近縁な野生類人猿の遊び、飼育下類人猿の行動発達、人の狩猟採集社会における養育行動、そして農耕社会に見られる技術習得といった内容について、それぞれの分野の専門家が紹介・解説する。また、複雑な都会型現代社会に生きる子どもたちの行動とも比較し、自然・社会環境の著しい変容が子どもたちの発達や成長におよぼす影響について検討したい。
竹下秀子 「飼育下類人猿集団における子どもの行動発達と社会的成長」
金子守恵 「こうやって、こうやって、つくるのよ:農耕民アリの女性職人による土器づくりの習得過程」
高田明 「狩猟採集民の社会における移動生活と養育行動」
早木仁成 「野生チンパンジーの遊びをめぐって」
コメント:高橋敏之 「現代社会における子どもの遊び、発達、成長」
司会:平田聡