霊長類研究 Supplement
第21回日本霊長類学会大会
セッションID: A-09
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口頭発表
ニホンザルの群れの広がりII
近接の維持とコミュニケーション
*下岡 ゆき子杉浦 秀樹辻 大和
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抄録
(目的)ニホンザルの群れはまとまりを維持したまま遊動する。群のまとまりがどのように維持されているのかは、まとまって遊動している群れからではわかりにくく、ほとんど明らかにされていない。そこで、通常サイズの群れであり、かつ長年に渡ってメンバーの安定した群れであるにも関わらず、頻繁にサブグルーピングすることが知られている金華山島のニホンザルの群れを対象として、サブグルーピングが生じた場面での発声行動に注目し、群のまとまりにコミュニケーションがどのように関わっているのかを検討した。
(方法)宮城県金華山島に生息するニホンザルA群を対象に、2004年7月に14日間の調査を行なった。2人の調査者がそれぞれ非発情のオトナメスを個体追跡すると同時に、GPSを用いて位置を記録し、10分ごとに2個体間の距離を測定した。1セッションを2時間とし、計25セッション行った。
(結果)群れがまとまっている状態は、個体間距離が250-300m以内であるときと考えてられた。そしてそれを超えて1200mまで広がるようなサブグルーピング現象が8回観察された。そして、クーコールの発声頻度が、サブグルーピングの生じる直前には平均よりも低頻度であり、サブグルーピングの生じた直後には高頻度に発声されることが明らかになった。
(考察)ニホンザルの代表的で最も高頻度に発声される音声であるクーコールが、群れのまとまりの維持と関連していると考えられた。しかしクーコールは離れた個体に対して合流を促すというよりも、近くにいる個体が離れないようにする機能があると考えられた。
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© 2005 日本霊長類学会
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