抄録
(目的)これまでの調査で、カリンズ森林M集団のチンパンジーにおいて、メスの交尾頻度が非常に高いことを観察されてきた。発情メスは、1時間に2回以上という高頻度で交尾を行い、あまり採食をせず、交尾と休息を繰り返す。このような高頻度で交尾を繰り返す期間は、1∼2週間続くことが多いが、メスにとってかなりコストがかかっていると考えられる。本研究では、発情メスと非発情メスを同じ方法で追跡し、その行動を比較することによって、発情のコストがどのくらいあるのかを検討する。
(方法)ウガンダ共和国カリンズ森林保護区に生息するM集団のチンパンジーを対象に、2001年∼2004年にかけて調査を行った。M集団には、2004年の調査時において、オトナのオス19頭オトナメス20頭を含む合計61頭の個体がいた。オトナのメスを個体追跡し、5分毎に行動と10m以内にいる個体の名前と行動を記録した。遊動に関しては、GPS(エンペックス社map21ex)を用いて、1分毎に記録した。追跡個体を追っている1時間毎に観察された個体についても記録し、1 hour party size(Hashimoto他、2001)とした。
(結果)結果については、現在分析中であるが、発情メスはオスを多く含むパーティで遊動することが多いのに対し、メスは母子パーティやメスを多く含むパーティで遊動することが多かった。1日の行動割合やパーティのサイズや構成、遊動の違いなどについて分析したい。