霊長類研究 Supplement
第21回日本霊長類学会大会
セッションID: A-01
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口頭発表
ヤクシマザルの昆虫類捕食行動
*清野 未恵子
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抄録
これまでのニホンザルの採食行動に関する研究から、ニホンザルは果実・葉などの植物食が中心の雑食性であるということが明らかにされてきた。動物食は、採食時間割合が低いということくらいしか言及されてこなかったが、どのようにして昆虫類を探し出し採食しているのかを明らかにすることで、ニホンザルにとって動物食がどのような食物品目であるかということを考察した。そこで、2003年10月から2004年6月まで鹿児島県屋久島の西部海岸地域に生息するヤクシマザルを対象に調査を行った。調査対象群はNina-A群で、そのうちオトナメス5個体を調査対象個体とした。
 その結果、サルは年間を通して49種類の昆虫類を採食していることが明らかになった。それらを探索する行動のなかで、虫を獲ることを目的としている、「朽木を崩して虫を探索する行動(朽木崩し行動)」について分析した。朽木崩し行動は、各月に観察されたが11月∼3月にかけて増加し、2月が最も頻度が高かった。また、朽木を崩して虫を獲得したあとに同じ朽木かまたは違う朽木で連続して探索が続けられる行動が113回中61回みられた。
 以上のことから、朽木は、冬期に虫類を獲得する場所としてサルにとって重要な採食パッチであることが明らかになった。また、朽木で虫を獲得したあとにも同じ朽木や獲得した付近の朽木で探索行動が続く行動は、中に生息している虫に対する興味が持続している結果であると考えられ、朽木に生息している昆虫類はサルにとって魅力的な食物であることが示唆された。朽木から出てくる虫の種類によって採食行動が異なることから、虫の種類のなかにも好みがある可能性も考えられる。
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© 2005 日本霊長類学会
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