霊長類研究 Supplement
第22回日本霊長類学会大会
会議情報
公開シンポジウム
サルと人の子育てを考える
*中道 正之*松岡 悦子*西澤 哲*根ケ山 光一*中野 良彦
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 1

詳細
抄録
集団で暮らすサルや類人猿にとって、出産も子育ても集団のメンバーとの社会的関わりの中で行われる。母ザルは子ザルに授乳し、ぬくもりを与える存在だが、時には子ザルの求めを拒否して、子ザルの独立を促す。赤ん坊を持つ母ザルは、集団メンバーの注目を集める魅力的存在となり、子ザルたちは母ザル以外の個体との関わりも広がる。他方、社会で育ったメスの中にも、子ザルに過度の攻撃を加えるなどの「問題行動」をするサルがいることもわかってきた。
本シンポジウムでは、まず、「進化の隣人」であるサルや類人猿の子育てを紹介する。その後に、現代社会での人の子育てに焦点を当てる。日本だけでなく、諸外国での出産事情と母の出産・子育てへの取り組みについて、文化人類学的な観点から紹介する。そして、臨床心理学の立場から、「幼児虐待」の実像を、虐待する親と虐待されながら育つ子どもの両側から検討する。最後に、発達行動学の立場から、サルの子育てと人の子育ての類似点、相違点を整理し、多様な視点から子育てを見ることの重要性を検討する。
講演者による講演の終了後には、来場者の皆さんから質問やご意見をいただき、活発な議論を行いたい。

中道正之「サルの子育てから分かること」
松岡悦子「異文化の出産・育児から見えてくるもの」
西澤 哲「虐待傾向のある保護者の心理的特性と子どもへの心理的影響について」
根ケ山光一「サルを通してヒトの子育てを理解する: 「子別れ」からの子育て再考」

司会:中野良彦
著者関連情報
© 2006 日本霊長類学会
次の記事
feedback
Top