抄録
(目的) ヒトnatural killer (NK) 細胞は、CD56+細胞を主体とする表現型の異なる幾つかの亜集団で構成されているが、サル類のNK細胞集団の表現型や機能についての報告は少ない。そこで、本研究では、カニクイザルNK細胞の表現型と細胞障害活性との関連を解析した。
(方法) カニクイザル末梢血から比重遠心法により単核球を分離し、ヒトリンパ球表面抗原に対する31種類のモノクローナル抗体を用いて、NK細胞集団のフローサイトメトリー解析をおこなった。また、セルソートした細胞集団について、K562細胞を標的とした51Cr遊離法によるNK活性の測定をおこなった。
(結果と考察) カニクイザルNK細胞はCD8+/CD16+(DP)とCD8-/CD16+(SP)の2つの細胞集団に大別され、細胞サイズはSPがDPより大きかった。
両集団の表現型は以下に要約される。
DP: CD56-/CD2±/CD27+/CD29low/CD31-/CD32-/CD38+/CD45RAlow/CD49dlow/CD69±/CD90+/HLA-DR-
SP: CD56±/CD2-/CD27-/CD29high/CD31+/CD32+/CD38±/CD45RAhigh/CD49dhigh/CD69-/CD90±/HLA-DR+
一方、細胞障害関連タンパク(perforin、gramzyme B、interferon-γ)のmRNA発現はDPで有意に高いにもかかわらず、NK活性はSPの方が高い傾向が認められた。
これらの結果から、カニクイザルでは、DPは活性化途上のNK細胞で、SPは活性化を終えた成熟NK細胞であることが示唆された。