抄録
霊長類の肝臓の血管分布の調査の一環として、今回、ヒトの副肝静脈について調べた。
ヒトでは、肝静脈は右、中および左肝静脈の3本が記載されている。今回、この3本以外で、下大静脈への合流部が直径2mm以上の静脈を副肝静脈として、副肝静脈の存在した52例の肝臓で、その本数、直径および合流部の位置を調査した。
1)副肝静脈の本数: 下大静脈に直接合流する副肝靜脈は、調査した52例での総数は113本、肝臓1例あたり平均2.2本であった。内訳は1本のもの28.8% (15例)、2本のもの38.5% (20例)、3本のもの23.1%(12例)、4本のもの5.8%(3例)、5本のもの3.8%(2例)。
2)副肝静脈の下大静脈への合流部の直径: 副肝静脈113本の中で、最大径のものは、12.5mmで1本見られ、最小径のものは2mmで5本みられ、1本の平均 5.6mmであった。 3)副肝静脈の下大静脈(肝臓貫通部)への合流部の位置: 下大静脈の肝臓貫通部を3部(上部、中部、下部)に分けて、調査した。副肝靜脈が上部に合流する12.4% (113本中14本)、中部に合流するのは16.8% (19本)、下部に合流するのは70.8% (80本)であった。また、副肝静脈が上部にのみ合流するものは、1.9% (52例中1例)、中部にのみ合流するもの 5.8% (3例)、下部にのみ合流するもの 44.2% (23例)、上部と下部に合流するもの 25% (13例)、中部と下部に合流するもの 25% (13例)であった。
以上の結果から、副肝静脈と呼んだ静脈は、1本あるいは2本のものが67%現われ、下大静脈への合流部は下部に合流するものが70.8%であった。
今後、これらの中で大きな副肝静脈を比較解剖学的に検討していきたい。