霊長類研究 Supplement
第22回日本霊長類学会大会
セッションID: P-21
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ポスター発表
ニホンザルにおける同種・他種の動画に対する選好性
*小倉 匡俊上野 吉一
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抄録
ニホンザルを個別ケージで飼育する場合、視覚環境の変化が乏しい状態におかれることが多い。飼育下のニホンザルの視覚刺激への欲求を理解することで、環境エンリッチメントの1つの工夫として視覚刺激の提示が利用できると期待される。本研究では個別ケージで飼育されているニホンザルに対して他個体の動画を提示してその選好性を調べ、ニホンザルの持つ視覚刺激に対する欲求を明らかにすることを目的とした。
本研究は、個別ケージにて飼育されているニホンザル(オス、6歳)を被験体とし、感覚性強化のパラダイムを元に選好性を検討した。タッチパネルを飼育ケージの前に設置し、視覚刺激を提示した。最初に、画面上にはスタートキーのみが提示される。被験体がスタートキーに触れると、ニホンザルとチンパンジーの動画が提示される。被験体がどちらかの動画に触れると、触れたほうの動画のみが画面上に残り、触らなかった方は画面から消える。残った方の動画に触れると動画の再生が進行する。3秒間動画に触れなかった場合、動画が画面から消えてスタートキーのみが提示された状態に戻る。2時間を1セッションとし、計20セッション(40時間)の課題提示をおこなった。それぞれの動画を選んだ回数や動画に触れた回数、動画の再生時間を記録し、動画の被写体の種間で比較した。
その結果、動画に対する反応が餌による強化無しで持続し、動画の感覚性強化子としての有効性が示された。また、被験体の自発的な反応により計5時間の動画が再生された。被験体は視覚刺激に対する欲求を持っていたと考えられる。チンパンジーよりもニホンザルの動画に対する選択数が有意に多く、合計再生時間も長かったことから、同種の動画に対する選好性が示唆された。これは個体差が選好性に影響した可能性を否定できず、被験体数を増やしてさらに検討することを計画している。
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© 2006 日本霊長類学会
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