霊長類研究 Supplement
第23回日本霊長類学会大会
セッションID: P-39
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ポスター発表
野生ゴリラおよびチンパンジーにおける定量的ストレス評価としての糞中コルチゾール濃度測定系の検討
*川村 誠輝藤田 志歩竹ノ下 祐二安藤 智恵子清水 慶子中尾 敏彦西田 利貞
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抄録
 エコツーリズムや研究者による観察がストレッサーとして野生大型類人猿の生態に悪影響を及ぼすことが危惧されている。本研究は、非侵襲的に採取可能な資料を用いて、野生大型類人猿のストレスを定量的に評価する方法を確立するため、糞中コルチゾール濃度測定系の妥当性について検討した。特に、現地でのサンプルの保存方法、研究者による観察の有無と糞中コルチゾール濃度との関連、種および個体の属性による糞中コルチゾール濃度の違いについて調べた。調査はガボン共和国・ムカラバ国立公園で2006年12月から翌年2月まで行った。ゴリラ (n=92)およびチンパンジーの糞(n=31)を採取し、キャンプに持ち帰ってシリカゲルで乾燥させるか、あるいはメタノール中への浸漬によって保存した。サンプルは日本へ輸送し、EIAキット(Oxford Biomedical Research, Inc.)を用いてコルチゾール濃度を測定した。サンプルの保存方法について検討した結果、乾燥処理とメタノール浸漬処理をした糞中コルチゾール濃度の間に有意な相関 (n=39, p<0.05, r=0.40)があり、いずれの方法も保存が可能であることが示唆された。ゴリラとチンパンジーの糞中コルチゾール濃度を比較したところ、ゴリラの方が高い傾向があった(p=0.09)。また、現在、人付けが進行中であるGentilグループについて、糞中コルチゾール濃度の日による変動を調べたところ、日による違いはみられたものの(p<0.05)、研究者による観察の有無との関連性は認められなかった。さらに、Gentilグループにおいて、糞サイズによるコルチゾール濃度の違いはなかったことから、個体の属性によるストレス強度の明らかな差異は認められなかった。今後、飼育下個体を用いて、平常状態における糞中コルチゾール濃度の動態と、観察等のストレス負荷時の変動について検討する予定である。本研究は環境省GERF (F061:代表者西田利貞)によって行った。
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© 2007 日本霊長類学会
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