霊長類研究 Supplement
第23回日本霊長類学会大会
セッションID: B-03
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口頭発表
ニホンザルの樹上ロコモーションに関する実験的研究:ギャップ幅の変化
*日暮 泰男平崎 鋭矢熊倉 博雄
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抄録
霊長類の四足歩行は、樹上、とりわけfine-branch niche への適応の結果であると考えられる特異な運動学的性質をいくつか示すとされる。本研究では、非連続な樹上支持基体を模擬する目的で、「水平梯子(horizontal ladder)」上での移動運動を分析することにした。水平梯子は、我々の研究室で従来用いてきたスチールパイプを用いた連続的な支持基体よりも、生態学的妥当性の高いセッティングであると考える。本研究では水平梯子のギャップ幅を変化させたとき、diagonal-sequence歩様による移動と、前後肢の機能分化がどのように変化するかという2点について重点的に分析を行なった。被験体は半地上性の霊長類種であるニホンザル2頭(オス4.5歳、メス4.3歳)を用いた。スチールパイプによって構築した水平梯子はその格子を可動式とし、ギャップ幅は等間隔とした。ギャップ幅は40~80cmの範囲内で、5cm刻みで変化させた。ニホンザルは非牽引的に水平梯子を移動するように充分なトレーニングを行なった。実験では移動中のニホンザルについてデジタルビデオカメラ2台による撮影を行ない、Frame-Dias II(DKH社)によるビデオ解析を行なった。結果:1)footfall patternは、ギャップ幅の増加に伴って、diagonal-sequence歩様→lateral-sequence歩様(ただし、この歩様は一方の被験体のみで見られた)→2×1歩様という順で変化した。2×1歩様は今回の実験で見出された歩様であり、footfall patternは例えば左後肢→左右前肢→右後肢→左右前肢となる。2)前後肢の機能分化については、Bolton et al.(2006)の主張するように、前肢は支持基体の位置を探索するという後肢にはない役割を担うことが示唆された。
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© 2007 日本霊長類学会
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