霊長類研究 Supplement
第24回日本霊長類学会大会
セッションID: C-08
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口頭発表
チンパンジーにおける顔と体の情動表出の知覚:見本あわせ課題を用いた検討
*狩野 文浩田中 正之友永 雅己
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抄録
顔と体の情動表出がチンパンジーの認識においてどのように分類されるか、見本あわせ課題を用いて検討した。見本あわせ課題では、先に提示される見本刺激に対して、意味や見かけの類似する刺激を選択することが求められる。これまでの研究から、チンパンジーは特別な訓練なしに、同種の表情の見本あわせを遂行できること(Parr, 1998)、また、見本と選択刺激の見かけの共通性を排除し、意味手がかりだけ与えても見本合わせを遂行できること(Parr, 2001)が報告されている。本研究では、表情と、これまで注目されることの少なかった体の情動表出(姿勢と動き)を手がかりに用いることによって、彼らの情動表出の知覚について発展的に検討した。実験に参加した6個体のチンパンジーは、タッチパネルつきモニタを用いて見本あわせ課題を遂行した。課題では、遊び、スクリーム、フート、歩行いずれかの情動表出を示す顔(もしくは体)の見本刺激にたいして、同種類の情動表出を示す別個体の顔(もしくは体)を選択することが求められた。その結果、顔と顔の情動表出の見本あわせ課題において、4個体のチンパンジーが、1セッション目からチャンスレベルを有意に上回る成績を示した。体と体の情動表出の見本あわせ課題においては、1個体のチンパンジーが1セッション目からチャンスレベルを有意に上回る成績を示した。また、チンパンジーは、見本あわせした情動表出の種類によって異なる課題成績を示した。結果から、チンパンジーは特別な訓練なしに、同種の顔と体の情動表出の見本あわせを遂行できることを確認した。しかし現時点では、チンパンジーが見本あわせの手がかりに意味の共通性を用いたのか、それとも単に見かけの共通性を用いたのか厳密に区別することはできない。この点に関して、現時点で得られる示唆と、今後の対処を議論する。
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© 2008 日本霊長類学会
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