霊長類研究 Supplement
第24回日本霊長類学会大会
セッションID: P-13
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ポスター発表
台湾の早期更新世堆積物中から発見されたコロブス類化石の報告
*荻野 慎太郎大塚 裕之高井 正成
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抄録
台南市よりおよそ15キロ東に位置する左鎮村の頭?山(Toukoushan)層群から3個の霊長類の遊離歯が発見された。上顎臼歯(標本番号01)は科レベルの同定ができなかったが、2個の下顎m3については、各咬頭歯冠が高く外側に向いている特徴からコロブス亜科と考えられる標本(標本番号02)と、5つの咬頭を持ち、ハイポコニュリッドが発達し頬側へやや傾いている特徴からMacaca属と考えられる標本(標本番号03)とに識別された。現生で台湾に生息する霊長類はタイワンザルM. cyclopisのみで、コロブス類は現生種、化石種ともにこれまで報告されていない.。アジアのコロブス類は現在東南アジア、南アジアの熱帯から亜熱帯地域の森林や低湿地帯に分布する。しかし、地質時代には現在よりもより広範囲に分布しており、アジア北方でも鮮新世のトランスバイカル地域(Udunga, Shamar)や日本列島(神奈川県)で見つかっている。これらはいずれも大型のコロブス類で、本研究で報告する標本番号02はサイズが明らかに異なる。歯の形態およびサイズからキンシコウやテングザルなど東南アジアに分布する現生コロブス類に近い種であったと考えられる。台湾の中期更新世の地層からコロブス類化石が発見されたことは、同時期にコロブス類が東アジア大陸縁辺部の島嶼地域に分布していたことを示している。また、Macaca属と考えられるm3をアジア地域に見られる現生のMacaca属と比較すると比較的小型の部類に入り、現生タイワンザルに比べてもやや小さい。また頬舌径が狭く、前後に長いという特徴を有する。本研究の結果、中期更新世の台湾島には少なくとも2種の霊長類が棲息していたことがわかった。台湾のコロブス類は現在絶滅しており、氷期以降の東アジア島嶼における霊長類の分布変遷とその原因を探る上で今回の報告は重要な役割を果たすことができるであろう。
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© 2008 日本霊長類学会
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