抄録
カニクイザル(Macaca fascicularis)11頭21側の上腕骨に付着する筋を対象に、筋付着部の大きさと筋重量、筋線維長、生理的筋断面積との相関関係を定量分析した。腱膜で骨に付着する筋は、付着部長をデジタルノギスで計測した。また、筋や腱で骨に付着する筋については以下の方法を用いた。それぞれの筋の付着部を同定し、X腺に感光する塗料を付着部周辺に塗布後、pQCTにて撮像した。得られたデータから3次元再構築し、塗布された塗料を目印に付着部表面積を算出した。生理的筋断面積は、計測した筋重量、筋線維長、筋羽状角度から算出した。標準化は、(1)筋重量に関しては上肢の全筋重量、(2)筋線維長に関しては肩甲骨幅もしくは上腕骨長、(3)生理的筋断面積に関しては上肢の全筋重量の2/3乗、(4)付着部長に関しては肩甲骨幅もしくは上腕骨長、(5)付着部表面積に関しては上腕骨全表面積で除算して行った。(1)~(3)と(4)および(5)との間で回帰分析を施した。また、(4)と(5)の変動係数(Coefficient of variations: CV)を算出し、付着部長・付着部面積の計測・算出方法の妥当性を検討した。ほとんどの筋で、筋付着部長および筋付着部面積と筋重量、筋線維長、生理的筋断面積の間に強い相関は認められなかった。筋付着部長や筋付着部面積は、筋量や筋力に無関係に一定であることが示唆された。筋を個別に見ると、グラフ内にまとまりを持つことから、それぞれの筋において、付着部の大きさと筋重量、筋線維長、生理的筋断面積の間には、固有の定量的関係があることが窺える。つまり異種間の比較にこの方法が有効であることが示された。また、筋付着部長のCVは12.02%~28.63%、筋付着部表面積のCVは10.51%~27.46%を示し、筋付着部長や筋付着部面積に関する種間比較には、このCVの値が差の判断基準値となり得ることが示された。