霊長類研究 Supplement
第24回日本霊長類学会大会
セッションID: P-22
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ポスター発表
動物園における入園時と退園時の来園者の関心の変化
*五百部 裕杉山 未芳
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抄録
【目的】動物園が環境教育の場という役割を果たす上で重要なことの一つは、展示方法の工夫である。そこで入園時から退園時にかけての来園者の関心の変化を、アンケート調査と来園者の行動観察から展示方法と関連づけて明らかにした。
【方法】調査は2007年度に愛知県犬山市の日本モンキーパークで行った。アンケート調査は入園者と退園者を対象に、関心のある(印象に残った)動物やその理由を尋ねるといった内容で行った。また来園者の行動観察は、いくつかの展示施設の前に仮想の観察区域を設定し、そこに立ち止まった2人以上のグループを対象に、彼らの30秒ごとの行動と滞在時間を記録するという内容で行った。
【結果と考察】アンケートの結果入園者と退園者で関心のあるサルの種類が変化した。印象度が最も増加したのはテナガザルであった。これ以外にリスザルやワオキツネザルなどで印象度が増加していた。逆に印象度が最も減少したのはチンパンジーであった。これ以外にニホンザルやゴリラなどで印象度が減少していた。各展示施設前での来園者の滞在時間がもっとも長かったのはゴリラであった。また通過人数が最も多かったのはギボンハウス前であった。テナガザルの印象度が高まったのは、展示施設の場所と方法が原因と考えられた。テナガザルは多くの来園者が必ずその前を通らなければならない場所で飼育されており、また彼らの特徴を生かした展示方法がとられていた。こうした要因は、印象度が高まった他のサルにも共通していると考えられた。ゴリラの印象度は低下したものの、全体ではレベルで維持されていた。展示施設前での来園者同士のコミュニケーションが多く、それが滞在時間を長くし、その結果印象度が高いまま維持されたと考えられた。このように来園者の関心の変化には、展示施設の場所やその状況、展示施設前での来園者のコミュニケーションのあり方などが影響していると考えられた。
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© 2008 日本霊長類学会
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