抄録
ウーリーモンキーは主としてアマゾン河の中・上流およびオリノコ河上流に生息し、ムリキおよびクモザルとともにクモザル族(Atelini)を構成する。クモザル族は新世界ザルの中ではもっとも大型で、群れはメスだけが移籍する「父系」タイプである。本研究では1988~1998年にコロンビア国、マカレナ地域、ティニグア国立公園でウーリーモンキーの1群を対象に行った調査に基づき、群れ内の敵対的交渉と順位関係を発表する。群れは成♂(8歳以上):3-5頭、成♀:6-10頭、未成熟個体:5-13頭で構成され、合計サイズは15-25頭であった。調査期間中、この群れで生まれたメス5頭が6歳前後で移出し、9頭のメスが群れに移入した。噛む、たたく、突進する等のあからさまな攻撃、および、相手を逃走または立ち去らせるような優位的接近がそれぞれ531回、および110回観察された。それらを総合すると以下のことが言える。1)一般的にオスはどの年齢でもメスより優位である。2歳以上のオスはあらゆる年齢のメスを攻撃したが、数例を除き、母を攻撃することはなかった。メスがオスを攻撃することは非常に稀で、もしあればその殆どは母から2-4歳の息子に対するものであった。2)オス間。あからさまな攻撃から見て、オトナオスはコドモおよびワカモノ(5-7歳)より優位であり、後者の間では年長の個体は年少の個体より優位であった。7歳以上のオス間ではあからさまな攻撃がまったく見られなかった。しかし優位的接近は時々生じ、その場合回避するのは常に年少個体であった。3)メス間。未成熟メスはオトナメス、とくに母からあからさまな攻撃をよく受けた。オトナメス間では移入してから日が浅い、未経産、等、定着度のまだ低い個体が劣位であることが多かった。ウーリーモンキーの順位関係はクモザルのそれと一番近いのではないかと予想される。