霊長類研究 Supplement
第25回日本霊長類学会大会
セッションID: P-47
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ポスター発表
5歳児のヒトの子どもにおけるアラビア数字の系列記憶課題~チンパンジーとの比較
*井上 紗奈松沢 哲郎
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抄録
アラビア数字をもちいた系列記憶課題をチンパンジーとヒトを対象におこなってきた。前回大会では,「数字記憶課題」の途中経過を報告し,ヒトの子どもとヒトのおとなの反応パタンの類似性を示した。本研究では,「数字記憶課題」とともに新たに「時間制限課題」を導入し,チンパンジーのパフォーマンスとの比較をおこなった。ヒトの実験参加者は,実験趣旨にご理解いただいた保育園児7名(男児4名,女児3名;実験開始時4歳11カ月から5歳3カ月)である。子どもは,個別作業室にて,週1回程度,一人ずつ実験者同室にて課題をおこなった。課題は,タッチパネルモニタに現れたいくつかの数字を小さい順に指で触れて消していくものである。「数字記憶課題」では,最も小さい数字に触れたとたん,画面に残ったすべての数字が市松模様に塗りつぶされた四角形に置き換わった。どの数字がどの位置にあったかを記憶し,数字の昇順に四角形すべてに触れて消せば正解となる。この課題は数字2個の段階から始め,学習進度に応じて数字9個までの段階を設けた。「時間制限課題」では,4数字課題をもちい,数字が画面にあらわれる時間を3種類(650 ms・430 ms・210 ms)に制限した。実験の結果,「数字記憶課題」では,子どもは,チンパンジーと同様の課題達成基準において,3数字から7数字まで記憶することができた。記憶する数は個人差があったが,反応は,“第一反応潜時が非常に長い”パタンであり,チンパンジーの瞬間的な反応とは異なることがわかった。「時間制限課題」では,得られた4人のデータから,制限時間が短くなるにつれて成績が低下する傾向がみられた。これは,ヒトのおとなの結果に類似しており,制限時間によって成績の低下がみられないチンパンジーの子どもとは異なる。すなわち,ヒトの5歳児の子どもは,系列記憶課題において,すでにおとなと似た反応パタンを持つことが示唆される。
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© 2009 日本霊長類学会
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