霊長類研究 Supplement
第25回日本霊長類学会大会
セッションID: B-7-3
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口頭発表
新世界ザル果実採食における視覚および嗅覚の役割
*平松 千尋MELIN Amanda樋渡 智秀AURELI FilippoSCHAFFNER ColleenFEDIGAN LindaVOROBYEV Misha河村 正二
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抄録
霊長類は他の哺乳類にくらべ発達した視覚を有しており,採食行動においても視覚の重要性が強調されてきた。しかし,野生下で視覚以外の感覚がどの程度採食行動に関わっているかはよくわかっていない。われわれはコスタリカ・サンタロサ国立公園において,同一種内に2色型色覚と3色型色覚個体が混在するチュウベイクモザル(Ateles geoffroyi)およびノドジロオマキザル(Cebus capucinus)自然集団を対象として採食行動の観察をおこなってきた。
今回,果実採食時に顕著に見られた匂い嗅ぎ行動に着目し,嗅覚が果たす役割と視覚シグナルとの関連について解析した。
クモザル,オマキザルともに隠蔽色の果実に対する嗅覚使用頻度は顕在色の果実に対して有意に高かった。この傾向は2色型と3色型で同様であったが,2色型の方が嗅覚使用頻度が高い傾向にある果実もあった。
クモザルにおいては,2色型,3色型ともに果実と葉の明度およびBlue-Yellowコントラストが嗅覚使用頻度と負の相関を示し,これらの視覚シグナルが弱い場合には嗅覚依存度が高くなり,視覚のみによる果実選択が難しくなることが明らかとなった。
オマキザルにおいては,最もL-Mオプシンの吸収波長域が異なる3色型個体は2色型個体よりも果実選択率が高く,さらに2色型は隠蔽色の果実に対して嗅覚使用頻度が高いことが明らかになった。
クモザル,オマキザルともに果実の採食効率(時間当たりに採食した果実数)には2色型と3色型で違いがみられなかったが,特にオマキザルにおいては嗅覚使用頻度に顕著な違いがみられるなど,果実にアクセスする際の行動パターンが色覚型間で異なる可能性が示唆された。
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© 2009 日本霊長類学会
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