抄録
【背景】カニクイザル子宮の加齢性変化については知られてないことが多い。繁殖をリタイアした高齢カニクイザルの子宮筋層を中心に、硝子様物質が見られた。
【方法】22歳から30歳以上のメス、カニクイザル9例の子宮でHE、PAS、マッソントリクロム、PTAH、アルシアン青染色を行った。さらに抗Vimentin、平滑筋アクチン(SMA)、CD68、アルブミンおよびIgG抗体を一次抗体とした免疫染色を行った。
【結果】病変の強いサルでは筋層の広い範囲に、弱いサルでは血管を取り巻くように弱好酸性の硝子様物質が認められた。平滑筋細胞間を縫うように小型の病変も認められた。子宮内膜の血管周囲にこの硝子様物質が認められる例もあった。強い病変部には、硝子様物質を不整に画分するように短紡錘形から一部星形の細胞が散在していた。
硝子様物質はPAS染色で陰性~弱陽性、マッソントリクロムで淡青色、PTAH染色で橙色、アルシアンブルーで弱陽性だった。免疫染色ではアルブミンならびにIgGなど血漿タンパクが認められた。
硝子様物質内の紡錘形および星形の細胞の主たる細胞はVimentin陽性・SMA陰性の線維芽細胞、一部はCD68陽性のマクロファージ系細胞だった。
【考察】免疫染色で硝子様物質に血漿成分が見られたが、PTAH染色でフィブリンが見られなかった。従って血管から漏出した液状成分が二次的に沈着したものと考えられたが、一次的な成分は明らかにできなかった。ヒトでは妊娠と出産に伴う中子宮動脈の発達と退廃の中で、出産後の血管の退廃でこの様な変化が起こると報告されている。出産歴のある動物にこの病変は確認されたが、出産数と病変の強さとの明確な関係は見られなかった。出産とは別に、加齢もこの病変を増強させる要素の一つかもしれない。