霊長類研究 Supplement
第27回日本霊長類学会大会
セッションID: P-29
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ポスター発表
ニホンザルにおける幼児図式への選択的注意
*佐藤 杏奈加藤 朱美香田 啓貴
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抄録
 ある特定の視覚刺激に対して、優先的にすばやく注意が向けられる現象(選択的注意)は、ヒトのみならず高次の社会認知を必要とするサルでもよくみられる。ヒトでは視空間注意の問題として多くの研究が行われており、中でも特定の表情に対してすばやい注意の捕捉が起きることが知られている。具体的には、「怒り顔」のようなネガティブな情動を喚起させる表情刺激について起きる。これは、攻撃的な情報をいち早く検出することが、生態学的に適応的であることから説明されている。
 一方で、近年、ヒト研究において乳児の顔画像といったポジティブな情動を喚起させる視覚刺激も、怒り顔のように選択的注意を捕捉しやすいという発見があった。乳児の顔にみられる物理的特徴は鳥類・哺乳類に存在し、それが鍵刺激となって親の養育行動を引き出すと古典的に提案されている。幼児図式が哺乳類や鳥類に普遍的に存在するのであれば、ヒトに認められたような乳児への注意や選好性がサルにも認められる可能性があるが、こうした知見は全くない。本研究は、成体雌ニホンザルで出産経験のある個体2頭、未経産の個体2頭、計4頭を対象に、ヒトの選択的注意の検討に用いられるドットプローブ課題によって、サル乳児の表情といったポジティブな視覚刺激に対して選択的注意が捕捉されやすいかどうかを検討した。その結果、経産・未経産で乳児の顔画像に対する選択的注意の向けられ方が、異なることが示唆された。これらの結果とヒトでの先行研究を比較し、出産経験の有無が乳児に対する注意の状態や選好性などに与える影響を考察したい。
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© 2011 日本霊長類学会
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