霊長類研究 Supplement
第28回日本霊長類学会大会
セッションID: B-08
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口頭発表
準標識点を用いたマントヒヒとニホンザルの性差を形成する頭蓋骨形成異時性の比較研究
*矢野 航Gunz PhilippMitteroecker Philipp高野 智江木 直子荻原 直道西村 剛
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抄録
[背景]霊長類の頭蓋骨の多様性は共通祖先の骨格発達パターンの時間的空間的改変によって生み出される。これをヘテロクロニー(異時成長)と呼ぶ。マントヒヒPapio hamadryasとニホンザルMacaca fuscataのオスは共にメスに比べて発達した口吻部を持つが(Ikeda and Watanabe, 1966; Leigh, 2003;2006)、両者の3次元頭蓋顔面全体形状の発達の方向性が少し異なっている(O’Higgins, 2001)ことから、性差を生み出すヘテロクロニーが起こる場所、時間が2種の間で異なっていると予想される。 [目的]1.吻部における性差を生み出すヘテロクロニーが2種で同じであるという(帰無)仮説を検証する。2.種で異なる場合、それぞれのヘテロクロニーが起こる場所、時間を同定する。 [方法]幼児期からオトナ期までの頭蓋骨格標本(マントヒヒn=32、ニホンザルn=57)を霊長類研究所所蔵のX線CTスキャナーで撮影した。計算機上で再構成した3次元像上で標識点および準標識点を取得し、これを発表者らが改良した幾何学的形態計測法で1.頭蓋顔面骨全体の形状変異傾向、および2.各骨単位での形状変異傾向を定量化し、サイズ変量を成長の代理変数として、成長の独立変数に用いて回帰分析およびPLS(Partial Least Square)分析によって成長傾向の導出をおこなった。[結果と考察] 同じオナガザル亜科に属するマントヒヒとニホンザルは共にオトナにおいて吻部に性差が見られるがこれらは相似(Homoplasy)であり、性差を生み出すヘテロクロニーは2種で異なるものであった。これらのヘテロクロニーの違いは両者における上顎洞などの形態差異の発達とも相関しているかもしれない。
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© 2012 日本霊長類学会
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