霊長類研究 Supplement
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
セッションID: E3-5
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口頭発表
ウガンダ共和国カリンズ森林におけるグエノン3種の社会交渉
*田代 靖子
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抄録
 ウガンダ共和国カリンズ森林に生息する 3種のグエノン(レッドテイルモンキー Cercopithecus ascanius, ブルーモンキー C .mitis,ロエストモンキー C. lhoesti)は,いずれも他種と遊動域を重複させており,森の中で日常的に他種と出会っている.特にレッドテイルモンキーとブルーモンキーは異なる種が混ざり合って移動したり採食したりする混群を高頻度で形成することが知られているが,直接的な社会交渉はさほど多くない.本発表では,グエノン 3種の異種間社会交渉について報告し,その特徴と行動が生起するメカニズムについて考察する.
 2009年から 2012年の間に観察された種間社会交渉は攻撃的交渉,グルーミング,遊びであった.攻撃的交渉の頻度は低く深刻なケンカに発展することはなかったが,採食中などに他種を追い払う行動が見られた.グルーミングは非常に頻度が低く,要求をしても成立しない場合がほとんどであった.比較的多く観察されたのは種間の遊びである.特に 2010年からは,林床付近での追いかけっこやレスリングなどの遊びが頻繁に観察されるようになった.
 林床付近での遊びの頻度が高くなった理由の一つは,3種ともに観察者に馴れたことであると考えられる.また,ブルーモンキーの群れの分裂にともない,レッドテイルモンキーとブルーモンキーの混群形成率が上がったことも遊びの頻度上昇に影響した可能性がある.いずれの場合も,種間の社会交渉はレッドテイルモンキーの働きかけによって生起しており,レッドテイルモンキーの行動がグエノン 3種の種間社会交渉に大きく影響していると考えられる.これらの種間交渉に適応的な意義があるのかは現在のところ不明だが,種間交渉の行動パターンの詳細や交渉が生起するメカニズムについて,今後明らかにしていくつもりである.
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© 2013 日本霊長類学会
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