霊長類研究 Supplement
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
セッションID: F1-1
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口頭発表
根室海峡におけるマッコウクジラの3次元的生息地利用パターン
*天野 雅男, *青木 かがり, *興梠 あや, *南川 真吾, *佐藤 克文
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抄録
 北海道根室海峡には,夏季にワカオスのマッコウクジラが来遊し,日中は約 40分の採餌潜水を行いながら海峡内を移動している.海峡内でのマッコウクジラの 3次元的生息地利用パターンを明らかにすることを目的に,陸上からのセオドライト観測と吸盤装着型GPS・3次元データロガータグによる潜水行動調査を行った.陸上調査は,羅臼クジラの見える丘公園を調査ステーションとして 2009年から 2012年の 8月中旬から 9月の間,天候と海況が許す限り毎日行った.双眼鏡でクジラを探査し,発見後セオドライトを用いてその浮上位置を特定した.クジラの分布は早朝から昼にかけて海峡の北から南下し,午後は水深 500から 1000mの海域に留るという明瞭な日周パターンを示した.クジラの分布に大きな変化のない午後の時間を含め,水面でのクジラの南北移動方向は4から 6時間周期で変化していた.吸盤装着型データロガータグを 2012年 7月に 2頭のクジラに装着し,24時間と 3時間のデータを得た.どちらのクジラも装着時間中休みなく潜水を繰り返していた.潜水深度は昼間は 400から500m,夜間は 800から 900mと夜間の方が深い潜水を行っていた.このような昼夜の潜水深度の差異は,2007年に得られた 1個体の潜水データでも確認されている.深い深度でクジラは体を回転させながら遊泳していたが,この回転のパターンは昼夜で異なっていた.24時間装着個体の GPSロガーで得られた位置データから,この個体は夜間に南北移動を 1往復行った後,朝から午後にかけて一貫して南下していた.以上の結果から,根室海峡のマッコウクジラは,海峡内を南北に日周的に移動しながら,深度が異なる 2層の採餌場所を昼夜で使い分けているものと考えられた.
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© 2013 日本霊長類学会
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