抄録
【目的】飛行機目視調査により,小型鯨類のスナメリの個体数を推定する. 【方法】ライントランセクト法に基づく調査を,5主分布域のうち 3海域(仙台湾 -東京湾,伊勢湾・三河湾,瀬戸内海)で行なった.基本的な調査方法は Yoshida et al. (1998)によった.本種の岸よりの分布 (Kasuya and Kureha 1979)を考慮し,海岸線に対し調査コースを垂直に設置するよう努めた.仙台湾~東京湾,伊勢・三河湾では緯度線に(以下,緯線調査),瀬戸内海では経度線に(経線調査),平行に 1分間隔で調査コースを設置した.調査時に仙台湾~東京湾では 5本に 1本,伊勢・三河湾では 3本に 1本,瀬戸内海では 4本に 1本,を系統抽出し航行した.探索方法は吉田ら(2013)と同様であった.海面反射が探索に与える影響を除くため,調査コース南側での発見は解析に加えなかった.機体下方向の見落としを考慮し,横距離 80m以遠での発見のみ用いた.Beaufort風力階級 3以上での発見は除いた.小川ら(2013)に準じた有効探索幅をもとに,個体数を推定した. 【結果】仙台湾~東京湾の調査は 2005年 8,9月に実施した.鹿島灘で発見が多く,41頭からなる大群も発見された.調査距離は938.0km,総発見数は 45群 232頭で,個体数は 7,745頭(密度 =0.9頭 / km2,CV=59.4%)と推定された.20頭以上からなる 2大群を除くと,2,251頭(0.3,39.1%)となった.伊勢・三河湾の調査は 2003年 10月に実施した.三河湾で発見がより多く,渥美半島の太平洋岸でもスナメリを発見した.調査距離は470.0km,総発見数は 97群 122頭で,個体数は 2,961頭(1.2,25.0%)と推定された.瀬戸内海では 2005年 10月に今治より西側を,2006年 11,12月に佐多岬より東側を調査した.個体数は,佐多岬を境に西側を 2005年の,東側を 2006年のデータを用い推定した.調査距離は2,211.9km,総発見数は 122群 203頭で,個体数は 9,177頭(0.6,19.9%)と推定された.