霊長類研究 Supplement
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
セッションID: F2-6
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口頭発表
短期・長期の隔離がアカネズミ集団の遺伝的多様性に与えた影響
*佐藤 淳, *田坂 由里奈, *高田 靖司, *植松 康, *酒井 英一, *立石 隆, *山口 泰典
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抄録
 生息地の隔離時間が生物集団の遺伝的多様性に与える影響を評価するために,短期の隔離モデルとして福山大学キャンパス内の孤立林,長期の隔離モデルとして瀬戸内海島嶼に着目し,アカネズミ集団の遺伝的多様性を調査した.福山大学においては,外縁部の森林地域と大学内部に隔離された二つの孤立林より採集したアカネズミを対象に,ミトコンドリア DNA Dloop領域の部分塩基配列(約300bp)を決定し,集団間の遺伝的多様性を比較した.その結果,連続した森林地域に生息する外縁部集団よりも,大学内部に隔離された集団において,ハプロタイプ多様度,及び塩基多様度が低下していることが明らかとなった.一方,瀬戸内海島嶼の向島,因島,生口島,大三島,伯方島,大島,大崎上島,上蒲刈島,下蒲刈島と,対照区である四国の今治市,及び本州の尾道市より採集したアカネズミを対象として,同様に集団間の遺伝的多様性を比較した.その結果,それぞれの島嶼集団では異なる特定のハプロタイプが優占しており,対照区と比較して遺伝的多様性が著しく低下していることが示された.以上の結果から,大学の建造物による数十年という短期の隔離でも遺伝的多様性は低下し,瀬戸内海島嶼による約 6000年という長期の隔離により著しい遺伝的多様性の低下が起こることが示唆された.長期間小集団が維持され,遺伝的浮動の影響が強くなることで,遺伝的多様性が低下したと推察される.さらに,向島と福山大学のアカネズミ集団を対象に,旨味受容体遺伝子 Tas1r1第 3エクソン領域の部分塩基配列を決定し,ヘテロ接合体の頻度を比較したところ,両アカネズミ集団の間に差はなく,共に高いヘテロ接合体頻度を維持していた.このことは,遺伝的浮動の影響の大きな小集団においても,適応的な平衡選択が働くことを示唆する.
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© 2013 日本霊長類学会
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