霊長類研究 Supplement
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
セッションID: F3-4
会議情報

口頭発表
エゾジカ (Cervus nippon yesoensis) を対象とする日没時の誘引狙撃法の有効性推定
*品川 千種*亀井 利活*中村 大輔*近藤 誠司*秦 寛*宮津 直倫*栗林 稔*淺野 玄*鈴木 正嗣
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抄録
 日の出前および日没後の銃器による野生動物の捕獲は,鳥獣法により禁止されている.しかし,これまでに行われてきたエゾシカの誘引給餌の結果では,むしろ夜間の出現が多く確認される傾向にあった.そこで本研究では,日没後の実施を想定した誘引狙撃の有効性を検証する目的で,給餌場への本種の出現状況を継時的に記録・解析した.
 実験は,北海道大学北方生物圏フィールド科学センター静内研究牧場の牧草地において,2011年 10~ 11月(秋),2012年 2~ 3月(冬),2012年 5~ 6月(夏)の 3回実施した.給餌は 1日 1回,午前 9時前後に行い,出現状況を自動撮影カメラ(GAME SPY D-55IR)により記録した.出現頭数を誘引狙撃の現実的な待機時間を想定した 3時間単位で集計し,日没前の時間帯と日没時刻を含む時間帯との間で Tukey-Kramerの多重比較による有意差検定を行った.
 秋と夏の出現頭数は,農作業等による人の出入りが多い地点では,常に日没時刻を含む時間帯の方が有意に多かった.しかし,人の出入りがほとんどない地点では,有意差がない場合もあった.冬は,いずれの地点でも有意差は認められなかった.
 北海道では,冬期間ならびに人の出入りがほとんどない地点で,日没前の時間帯における誘引狙撃でも一時的な効果が期待できる可能性は示された.しかし,厳冬期の北海道で誘引狙撃法を集中的・継続的に適用することは,気温や降雪等の諸条件から必ずしも現実的とは言えない.また,誘引狙撃法は対象地域内に複数の給餌地点を設置することを原則としているため,人の出入りの少ない限られた地点のみでの適用では,その成果は限定的にならざるを得ない.したがって,誘引狙撃法による優れた捕獲効率を引き出すためには,我が国においても「日没を含む時間帯での銃器の使用」を可能とする規制緩和が不可欠と考えられた.
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© 2013 日本霊長類学会
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