霊長類研究 Supplement
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
セッションID: P-28
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ポスター発表
ヤクシマザルの個体追跡中に取得した GPS測位値から推定する遊動ルートのスムージングのキャリブレーションによる距離精度の改善
*スプレイグ デイビッド*西川 真理
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抄録
 GPS(全球測位システム)の開発により野外における調査の軌跡を記録することが容易になった.また,野生動物の個体追跡中に取得する GPSの記録から観察個体の遊動ルートを推定することができる.しかし,GPS測位値には多少の誤差が存在する.その誤差は GPS電波を送信する人工衛星の数と配置,地形,頭上の樹冠などに影響される.特に,GPSからルートを構築した場合,ルートの距離の推定は測位誤差に影響されやすい.GPS測位値そのままから計算する距離は実際の移動距離を過大評価する可能性がある.したがって,GPS測位値に対して平均化やスムージング処理を施して誤差を軽減することが考えられる.しかし,過度のスムージングはルートを縮め,移動距離の過小評価につながる.そこで,何らかの方法でスムージングの程度のキャリブレーションを行うことが望ましい.本研究では,鹿児島県屋久島に生息するニホンザルの亜種であるヤクシマザルを調査の対象として行った個体追跡中に観察者が取得した GPSデータから,観察個体の遊動ルートを構築した.次に,既知のルートとして調査地内の林道添いを観察者が歩いて取得した GPS測位値からルートを構築し,この既知ルートに対してスムージング解析を実施した.スムージングには Polynomial Approximation with Exponential Kernel (PAEK) 法を使用した.スムージングの程度を変化させながら,スムージング後の線の頂点から林道への平均距離と分散を計算し,その平均距離と分散が最小になるスムージング度を最適とみなした.スムージングの結果,ルートの距離は約 15%縮小した.最後に,最適スムージングをサルの遊動ルートに対して実施し,ルートの距離を推定した.
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© 2013 日本霊長類学会
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