霊長類研究 Supplement
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
セッションID: P-32
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ポスター発表
上陸場モニタリングシステムにより確認されたトド焼印個体の滞在おおび移動
*磯野 岳臣*米田 豊*和田 昭彦*服部 薫*山村 織生
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抄録
 北海道日本海側ではトドの越冬回遊が見られ,沿岸域では 50~ 200頭規模の上陸場が複数個所形成される.上陸個体にはロシア繁殖場において焼印を付されたトドが含まれ,個体識別が可能である.これら焼印個体の観察を高頻度で行うため,自動撮影カメラによる上陸場モニタリングシステムを開発し,2011年より焼印番号の読み取りが可能となった.そこで, 2011/12年および 2012/13年来遊期(11~ 4月),同システムによって得られた結果より,トドによる上陸場の利用形態について整理した.
 道央日本海側に位置する上陸場において,2011/12年は 3箇所に計 7台,2012/13年は 4箇所に計 9台のカメラを設置した.カメラは 1.8万画素の一眼レフを用い,光センサーおよびタイマーによる日中 15分間隔の自動撮影を行った.画像はカメラ内の記憶媒体に蓄積し,およそ 3週間間隔でバッテリーおよび記憶媒体を交換した.得られた画像から焼印番号を判別し,ある観察日に確認された場合を 1回として記録した.
 来遊期を通じ延べ 7.7万枚の画像を得,2011/12年に 38頭 220回,2012/13年には 41頭 245回の焼印個体を確認した.発見回数の平均 ± S.D. は各々 5.79 ± 7.34および 5.98 ± 6.44回であった.最も確認回数が多かった個体は各々 37および 30回であり,すべて同一上陸場の利用であった.各来遊期に3回以上確認された個体は各々 23および 25頭であった.上陸場をその位置により石狩湾および岩内湾に分け,3回以上確認された個体に注目したところ,両年とも 8割以上の個体が同一湾内のみでの発見であり,湾間を往来する個体は 2割に留まった.また,2年連続で確認された個体 19頭のうち 14頭(73.7%)は両来遊期とも同一の湾でのみ確認された.これらのことから,越冬来遊期のトドは特定地域への固執性を有することが示唆された.
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© 2013 日本霊長類学会
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