霊長類研究 Supplement
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
セッションID: P-46
会議情報

ポスター発表
多雪がニホンザルの採食行動に及ぼす影響:2012年豪雪を例に
*江成 広斗*江成(坂牧) はるか
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
 旱魃・寒波・サイクロン等の自然災害は霊長類の生息地を大幅に変化させる.一方,自然災害が生息地にもたらすネガティブな影響を最小化するために,霊長類は餌食物や採食様式の変更など,多様な行動戦術を持っていることが各地で報告されている.そこで本研究は,東北日本海側で広く観測された 2012年豪雪に注目し,多雪日の増加がニホンザルの採食行動にもたらす影響を評価した.当該評価は白神山地北東部に生息するニホンザル野生群を対象に実施した.調査地では,高木以外の木本・草本植物が埋雪する 1m以上の積雪深が観測された多雪日数は,平年 20日程度であるのに対し,2012年は 77日に及んだ.多雪日数が異なる年の採食行動の比較のために, 2008~ 2012年(2011年を除く)において,調査地各所に設置した 5本のベルトトランセクト(幅40m,総延長12.4km)で確認されたニホンザルの採食痕を記録した.その結果,多雪日の多寡に伴い,餌食物や採餌場所は大きく変化した.特に,豪雪年において, ①各餌食物への選好性より,餌食物へのアクセスしやすさが,食物選択に影響していること,②餌食物の利用可能量より,寒風や吹雪の影響を軽減できるレフュージの分布が,採餌場選択に作用していること,などが明らかとなった.これらのことから,多雪日の大幅な増加という予期せぬ外部環境の変化に対し,ニホンザルは「リスク回避型採食戦術」を採用している可能性が示唆された.
著者関連情報
© 2013 日本霊長類学会
前の記事 次の記事
feedback
Top