霊長類研究 Supplement
第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
セッションID: P-50
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ポスター発表
ニシローランドゴリラの遊びん誘いかけ行動と家族構造の関連
*松原 幹
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抄録
 遊び行動は社会スキルと身体能力の発達研究において着目されている.父系家族群を形成するゴリラは,オスの未成熟個体は将来自らの群を作り,維持するために,メスの個性に応じた高い社会スキルを身に付ける必要がある.メスの未成熟個体は非血縁も含むメス同士の共存能力が群れ生活を営む際に必要となる.これらの社会スキルは,幼少期に複数個体と遊びを通じて発達する.遊び行動の誘いかけ行動は,自分の意志を伝達するだけでなく,相手の自発的な行動を促すといった,他者の心の動きの推測を伴い,社会スキルの発達のために重要な行動である.
 本研究では,未成熟ゴリラの社会的・身体的発達を調べるため,遊びの誘いかけ行動を解析し,群れの性年齢構造による影響を検討した.英ハウレッツ・ポートリム野生動物公園にて,ニシローランドゴリラ 2群を対象に,個体追跡法で連続観察を行った.群れを形成して 10年以上たち,コドモが多く育った DL群では,群れを形成して 5年以内の DG群より,遊びの誘いかけに使われる行動のバリエーションが豊富であることが明らかになった.また,遊びの誘いかけ行動にコドモが応じる頻度が高く,遊び時間が長い傾向があった.遊びの誘いかけへの拒否は,年長コドモから年少コドモへの誘いかけ時にみられ,逆は少なかった.年少者の拒絶の声があがるほどの誘いかけがあった場合は,オトナメスや他の年長コドモが間に割って入るケースもみられた.遊びの中断や終了時には,自発的に相手への配慮がなされるが,特に身体能力の劣る相手に対しては,このように他者によって促されることもある.年長コドモが少ない群れでは,非血縁オトナメスがコドモの遊び相手となることで,他者への配慮,特に群れの大勢を占めるオトナメスとの社会交渉を身につけていることが推測された.
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© 2013 日本霊長類学会
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